食品事業者必見!知って得する豆知識

知って得する商談会活用

2020年 1月 14日

前回の展示会活用編でも触れましたが、今回も展示会と比較した商談会の特徴を確認したいと思います(資料1)。

資料1:展示会と商談会の違い

展示会

商談会(個別商談含む)

目的

会社PR・名刺収集・マーケ

商談成約・マーケ

時間

3分~10分程度

30分程度

場所

オープンスペース(騒がしい)

原則個室又は商談フロア

提案方法

ブースを介して商品説明

営業担当による直接提案

説明方法

ポイントを簡潔に

ポイントを掘り下げて

事後フォロー

初動が重要

中身が重要

商談相手

不特定

特定(一対一)

(事前の)商談先調査

不可能

可能

PRする商品の選定

アイテムを絞って大量に

多品種少量

提案書(商品カルテ・仕様書)

一般的なものを用意

企業ごとにカスタマイズ

商談会は、さらにタイプをわけることができます。

  1. 自治体・金融機関等が主催する大規模マッチング型商談会
  2. 展示会等で一度商談を済ませている企業と条件を詰めるために行う商談(小売業本部等での個別商談)

展示会と商談会の最大の違いは、商談会においては商談相手が特定できているということです。商談相手が特定できているということは、商談先の調査を行う時間が十分にあることから、不特定多数を相手にする展示会とは準備すべき内容が全く違ってくるということです。

商談相手先企業の調査を十分に

商談の最終目的は自社商品の定番採用です。定番採用を目指すということはすでに定番で採用されているライバル商品を棚から排除することを意味します。できれば、店舗視察に出向き、ライバル商品と自社商品の比較を行い、自社商品の強みを改めて整理し、商品仕様書に反映しましょう。そうすることで相手先企業のためにカスタマイズした商品仕様書ができあがります。

店舗視察は遠方の場合、負担も大きいので、そこまでできない場合はインターネットでWEBチラシなどの検索を行い、大まかな商品政策を事前に調査しておきましょう。例えばディスカウントストアとこだわりスーパーマーケットでは求められる商品レベル(味、原材料、価格等のバランス)が全く違います。自社商品が商談相手の小売企業の商品レベルと明らかに開きがあるようであれば、商談しても成約の可能性は低いと言えます。

重要なのは商談相手先の商品ニーズを事前につかむことです。そのためにあらゆる手段を用いて丁寧な企業調査を心がけましょう。

商談当日準備すべきアイテム

会社案内、商品仕様書(掛け率など取引条件も記載)、パッケージ確認用サンプル、試食用サンプル、試食セット(スプーン、皿、持ち帰り用ゴミ袋など)。必ず試食ができる体制で臨みましょう。バイヤーはどこかのタイミングで必ず試食はします。試食なしでの商談成約はありえません。早い段階で試食をしてもらい成約を目指しましょう。

予備で提案する商品情報も持っていく

お目当ての商品の商談が不調に終わっても、たまたま持っていたほかの商品にバイヤーが興味を示す場合が多々あります。個別商談はバイヤーを独占できる貴重な機会です。扱っている全商品を掲載した総合カタログのようなものを必ず持っていきましょう。

個別商談のポイントは「聞くこと」

商談を通じてバイヤーは商品の採用の可否を判断しますが、即決できない場合がほとんどです。価格が高い、味がいまいち、パッケージがわかりにくい等、理由がどこにあるのかを聞き出すのが商談で一番重要なポイントです、商品説明をするのが商談の目的ではありません。バイヤーから採用に向けて超えるべきハードルがどこにあるかを聞き出すことに力を注ぎましょう。

商品の話と同じくらい重要な取引条件の話

一回当たりの取引数量、リードタイム、卸売業者をどこにするかなど、取引条件の話に進めば商談成約は近いです。スーパーマーケット等の食品小売業はほとんど卸売業者経由での取引を希望します。卸売業者が決定しないと商談相手への取引価格が提示できません。

小売業者指定の卸売業者を経由して卸売価格を提示できるよう作業を進めましょう。その際、自社と取引のない卸売業者を指定される場合があるかもしれませんが、その場合は小売業者から指定の卸売業者の担当者を紹介してもらい、取引口座開設をへて取引価格を提示しましょう。

小売業者がこの段階で想定卸売価格を聞いてくる場合がありますが、卸売価格が未確定ですので、卸売業者と調整後に価格提示する旨を伝えましょう。

一回の交渉で商談成約はほとんどない

商談会は一回で成約になるケースはほとんどありません。卸売業者を経由した価格提示に時間がかかるからです。その他取引条件を詰める場合にも確認事項が多岐にわたるため一回での商談成約は難しいのが現状です。加えて、一度商品導入が決まった後は、定番外れ防止の販促提案などが中心となり、結果的に商談は継続していくことになります。

商談は商品導入を目指すほかにも、バイヤーの商品ニーズをヒアリングするマーケティング活動の場でもあります。つまり、商品開発のための情報収集の場としても活用できるわけです。商談(会)参加に際し、事前に活用方法の検討をすることで商談効果を高めることが可能になります。商談目的を明確にし、商談(会)に臨みましょう。

解説者

中小企業基盤整備機構 チーフアドバイザー 籾山 朋輝

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