ビジネスQ&A
GAPとは、何のことでしょうか。
2021年10月20日
社員2人、創業15年の飲食業を経営しています。地元の行政を通じて、地域の農畜産物の紹介があり、紹介された農産物の一部はJGAP認証を取得していることをアピールされました。GAPとは何のことでしょうか。
回答
GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)とは、農業において、「食品安全」、「環境保全」、「労働安全」等の持続可能性を確保するための生産工程管理の取組のことです。その認証として、JGAP、ASIAGAP、GLOBALG.A.P等がありますが、各々の違いについては、この後の項目で説明していきます。
JGAP(ジェイ・ギャップ)
Japan Good Agricultural Practice(日本の良い農業のやり方)
2005年にスタートし、日本における標準的なGAP認証であり、日本の農業生産者にとって必要十分な内容を備えています。
ASIAGAP(アジア・ギャップ)
Asia Good Agricultural Practice(アジアの良い農業のやり方)
GFSI(Global Food Safety Initiative)から承認を受けたGAP認証です。JGAP農産物と同様、「食品安全」、「環境保全」、「労働安全」、「人権福祉」、農場運営の要素を含んでいます。
GFSIのベンチマーク要求事項にそった基準作成が求められるため、食品安全の要素の中に、HACCPをベースとした考え方、食品防御や食品偽装防止が含まれています。また、GFSIのベンチマーク要求事項にそった審査を実施するため、標準的な規模の個別認証では、1日(8時間)以上の審査が求められています。また、サンプリングの方法により非通知審査が行われる場合もあります。
認証範囲と対象品目
導入手順
ASIAGAP・JGAPは農場管理・団体管理の仕組みであり、認証制度の名称です。認証を受けることができるのは、農場または団体です。
農場とは個人農家や農業生産法人など1つの農業経営体のことで、団体とは団体事務局を中心とした複数の農業経営体が集まった団体や複数の農場を管理している企業などです。
GLOBALG.A.P
適正農業規範に関する国際基準
GFSI(Global Food Safty Initiative)から承認を受けたGAP認証です。ヨーロッパを中心に普及が進んでおり、世界中で安全で持続可能な農業を行うという目的を持って活動し、世界中で利用できる農産物認証の自主基準が定められています。
グローバルスタンダードなGAP認証の一つですが、日本国内では、取得の難易度や審査員の渡航費用も含む費用が高いことにくわえて、日本語で対応可能なASIAGAPがGFSI認証を受けたことから、普及が進んでいません。
認証取得方法
農林水産省のホームページにはこれからGAPに取り組む人へ向けたオンライン研修も掲載されています。研修の最後には理解度確認テストを受けることができ、修了証も発行されます。
出典:農林水産省・一般財団法人日本GAP協会・GLOBALG.A.P
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中小企業診断士 三海 泰良