ビジネスQ&A
食品安全に対応した認証規格には、どんな規格がありますか?
2021年 5月19日更新
社員5人、創業25年の食品製造業を経営しています。HACCP制度化に合わせて食品安全の認証規格取得を検討しています。食品安全に対応した認証規格には、どんな規格がありますか?
回答
食品の民間取引において、安全管理の適正化や標準化が求められるようになってきました。経験や勘だけではなく、食品安全管理のルールを明確化し、その実施や管理が行われていることを第三者(監査会社など)が認証した資格取得が取引条件となるケースも増えてきています。一般的には、認証機関によって設けられた食品安全認証制度のことで、国際的な統一規格のことを指すことがあり、複数の認証規格があります。
The Global Food Safety Initiative(GFSI):世界食品安全イニシアチブ
現在、最も世界的に認知されている食品安全管理の承認を行う民間団体で、2000年に発足しました。世界的に展開する食品企業が集まり、食品安全の向上と消費者の信頼強化のため、世界的な食品小売業やメーカーが共同して食品安全管理の承認等を行っています。
The Consumer Goods Forum(TCGF)傘下の食品安全の推進母体として、次の4つの活動を行い、食品安全に寄与している団体です。
〇食品の安全性に関するリスクを軽減するために、従来の食品安全マネジメント・スキーム間の収束と等価性を図ること
〇業務の重複を軽減し、効率化することで、食品システム全体のコスト効率を高めること
〇一貫した食品システムを築くため、食品安全の遂行能力を高めること
〇ステークホールダーに対して、コラボレーション、知識共有とネットワーク作りができるような国際的な場を提供すること
GFSIにより承認された規格
・JFS
・ASIAGAP
・FSSC 22000
・SQF
・IFS International Featured Standards
・Global Red Meat Standard
・BRC GLOBAL STANDARD
・CanadaGAP
・GLOBALG.A.P.
・Global Aquaculture Alliance Seafood
・PrimusGFS Standard
・CHINA HACCP(※)
・USDA AMS GAP+(※)
・CANADIAN GRAIN COMMISSION'S CGC HACCP AND CIPRS+HACCP(※)
(※)は、政府認証規格技術的等価承認
JFS認証スキーム
日本発の食品安全規格(Japan Food Safety Standards (JFS) )はとして、国際的に通用する食品安全管理規格を目指して開発されたシステムです。
フードチェーン全体での食品安全確保のための取り組みを標準化し、自らの食品安全レベルを向上させることを目的としています。
JFSの策定、認証・適合証明認証プログラムの管理は「一般財団法人食品安全マネジメント協会(JFSM)」により行われています。2016年1月に設立され、食品安全と信頼確保に貢献し、規格認証によるコストの最適化を目的としています。大企業だけでなく中小企業でも導入しやすい食品安全の共通基盤を目指しています。
A規格からC規格まであり、マネジメントシステムの要素を含むC規格は国際的に通用するレベルとしてGFSIの承認を得ています。
C規格の特徴としては、現場からの改善提案の活用に関する要求事項が含まれていることです。
なお、認証・適合証明された組織はJFSMのホームページで確認することができます。
2021年5月16日現在:認証された組織数(JFS-C)95件・適合証明された組織数(JFS-B)1,383件などとなっています。
食品安全マネジメントシステム(FSMS)認証 ISO 22000
食品安全マネジメントシステムは、Food Safety Management Systemの頭文字をとりFSMSと訳されます。フードチェーン(食品の生産から消費者に届くまでの全ての段階)全体における食の安全を守るための仕組みとして、ISO 9001とHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)の二つの概念を融合して開発された規格です。GFSIの承認を得た食品安全規格として、ISO 22000(食品安全マネジメントシステム-フードチェーンの組織に対する要求事項)を元にして開発された、FSSC 22000(食品安全システム認証 22000)があります。
ISO 22000では、以下の4つの要素を組み合わせ、FSMSに対する要求事項を示しています。
〇相互コミュニケーション(互いに連絡を取り進めること)
〇システムマネジメント(仕組みで保証すること)
〇前提条件プログラム(安全衛生条件を維持するために必要な基本条件そして活動すること)
〇HACCP(7原則12手順により食の安全を確保すること)
出典:農林水産省・一般財団法人食品産業センター・公益財団法人日本適合性認定協会
- 回答者
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中小企業診断士 三海 泰良