ビジネスQ&A

商品をブランド化するには、どのようにすれば良いのでしょうか?

東京の住宅街の駅前で、和菓子屋を経営しています。近隣住民はあまり増えておらず高齢化が進んでいますが、商店街を抜けたところに若者が集まるパワースポット(縁結びの神社)があり、週末には若者が多く商店街を通ります。そこで、当店のどら焼きを買ってもらうためにブランド化していきたいのですが、どうすれば良いでしょうか?

回答

ブランドを構築することは非常に重要ですが、構築するまではとても大変です。ポイントはターゲットの明確化と、そのターゲットの心の中に、思い描くイメージを植えつけられるかです。そこで重要になるのが徹底力です。イメージを明確にして、そのイメージをすべてのコミュニケーション・ツールを使い、徹底して訴求することが成功への道です。

【ブランドは徹底力がものをいいます】

相談者の内容からすると、どら焼きを販売する層は、縁結びの神社に来る若者をターゲットとしていると思います。ターゲットが明確であることは、まずブランド化に向けてのマーケティングの基本をクリアしているといえます。さらに、どら焼きをスイーツの一種と捉えるのであれば、若い女性をターゲットにすることが効果的と思われます。

若い女性にターゲットを絞り込んだならば、若い女性に支持されるためのどら焼きの条件とは何かを考えます。その場合に重要となるのは、以下の点ではないかと思われます。

  • 若い女性に支持される味
  • 若い女性に支持される見た目
  • 若い女性に支持されるサイズ
  • 若い女性に支持される価格
  • 若い女性に支持される販売促進方法

この5つの点を、若い女性の意見を集めてポイントを明確にし、徹底して実行していきます。

【往来する若い女性とコミュニケーションを図ります】

コミュニケーションといっても、会話だけがコミュニケーションではありません。店構えから、看板、ポスター、陳列、接客、POP、BGM、香りなど五感に感じるすべてがコミュニケーション・ツールです。さらに、試食などの販売促進、パンフレットや包装紙・手提げ袋などもコミュニケーションの一部です。

そして、五感を通したコミュニケーション方法を、若い女性に支持されるように徹底していきます。若い女性が特に惹かれる五感では、やはり目で見て「美しい」「かわいい」といった目に訴える部分が最初は重要になってきます。その「美しい」「かわいい」に合わせた看板、ポスター、陳列、接客、POPなどがストーリー性を持って、それぞれの役割を持って語りかけるように工夫していくことが、ポイントになります。

また、神は細部に宿るというように、ディティール(細部)にこだわることも重要です。なお、ブランドはとても傷つきやすいもので、ちょっとしたことでイメージが壊れるというもろさも持っています。ちなみにディズニーランドでは、ゲストが夢の世界から現実に戻ることがないように、ゴミひとつ落ちていないように徹底して清掃しています。それも、パフォーマンス付きで行っています。

【ブランドはネーミングと印が重要】

世界のブランド品を見ると、2つの重要なポイントとそのイメージが重なり合うようにプランされています。重要なポイントは、ひとつは「ネーミング」であり、もうひとつは「印(ロゴ)」です。

世界のブランド品は、ネーミングと印を一体として色・形などを寸分違わないように管理しています。ロレックス=クラウンのマーク、ルイ・ヴィトン=LVのマーク、メルセデス=スリーポインテッド・スター、マクドナルド=mのマークなどです。

もともと、ブランドという言葉の語源は、burned「焼印」からきているという説があります。つまり、自分の牛と他人の牛を区別するために、自分の牧場の印を牛のお尻の部分に焼き付けたことが、もとといわれています。

相談者がブランド化しようとしているどら焼きは、この焼印を押すのにもってこいの素材ではないかと思います。ターゲットとしている若い女性に支持されるネーミングを考え、若い女性に支持されるマークをどら焼きの中央に焼き付けて、縁結びと関連づけたストーリーを展開することで、明確なコンセプトができるのではないかと思います。

さらに、ブランド化ではキャッチ・コピーも重要です。たとえば、「インテル入っている」「そうだ、京都に行こう」「あなたとコンビに」など、キャッチ・コピーは短い言葉で、その商品のコンセプトと世界観を、一瞬のうちに対象者の心の中に広げる力を持っています。以上の点を参考にしていただき、どら焼きのブランド化を進めてください。

回答者

中小企業診断士 深瀬 雅之