経営ハンドブック

公的支援の受け方

設備投資、IT活用、人材育成を進める

生産性向上には、これまでの働き方を見直さなければいけない。そのためには、知識や技能も必要になってくる。ここでは、生産体制を変える、IT(情報技術)を活用する、人材を育てるという観点から、公的支援を紹介する。

生産性向上に関連する主な支援テーマ

  • 生産プロセスを改善する
  • ITツールを導入する
  • 人材を育成する

1.生産プロセスを改善する

工場の生産性を高めるには、既存の製造プロセスを見直して、課題を解決しなければならない。能力に優れた設備に置き換えたり、新たな設備を取り入れたりするなどの投資が必要になってくる。

また、中小企業等経営強化法は、製造業に限らず、卸・小売、外食・中食、医療、介護、建設など20分野で「事業分野別指針」が作成されている。業種にかかわらず、生産性向上施策の実施に役立つだろう。

名称:中小企業等経営強化法(経営力向上計画)

特徴:2016年7月施行の「中小企業等経営強化法」に基づき、生産性向上策(営業活動、財務、人材育成、IT投資など)を業種ごとに作成している。即時償却といった税制面の優遇、許認可などの法的支援、金融支援、補助金との連動といった支援を用意する。「経営力向上計画」を担当経済産業局に申請する必要がある。書類作成などの相談先は、商工会議所や商工会、金融機関、士業などの専門家。生産性を高めるための設備を取得する場合は、中小企業経営強化税制(即時償却など)による税制面、計画に基づく事業に必要な資金繰り(政府系金融機関による低利融資、信用保証協会による保証枠の別枠化や拡大など)といった支援を受けられる。

名称:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

特徴;付加価値額を年率3%向上させられるなど、革新性と実現可能性があり、一定の条件を満たした申請書を提出し、採択される必要がある。平成30年度補正予算は1社単独申請の場合、最大で1000万円の補助を受けられる。大幅な生産性向上が見込める意欲的な最新設備への更新が対象となる。申請に当たっては、事業戦略・事業計画を用意しておく。

2.ITツールを導入する

営業担当者が手書きしている案件進捗管理や営業報告書をシステム化したい、入出庫やピッキングの手間を軽減したい……。こうした業務効率化に、ITツールの導入は有効な手法だ。

名称:IT導入補助金

特徴:ITツール導入に関連する費用を最大50%(限度額450万円)助成する。既に登録されているITベンダーのツール(ソフトウエアやクラウドサービス)だけが適用対象だが、申請手続きをITベンダーが代行してくれるため、申請の手間がかからないのは大きなメリットだ。ITベンダーから補助対象となる企業に営業がかかることが多いが、「IT導入補助金」の診断ツールを利用すると、自社の課題などを判定できるので導入すべきサービスを選ぶ際の参考になる。2019年度については交付申請の受付を終了している。

3.人材を育成する

現場の課題を発見して解決する、IoT(モノのインターネット)やクラウドなど最新技術を取り入れる。生産性向上には、こうした技能や知識を持つ人材の育成も必須だ。

名称:生産性人材育成支援センター

特徴:課題に合わせた人材育成プランの提案、職業訓練の実施など、人材育成に関わる総合窓口。生産・品質管理や組織マネジメントなどの知識を習得する、業務のIT化や情報セキュリティーなどを理解するといったカリキュラムを用意している。また、人材のマッチングを行っている。利用に当たっては、「人材開発支援助成金」の対象となる。

名称:若年技能者人材育成等事業(ものづくりマイスター制度)

特徴:ものづくりに関して高度な技能・経験を有する「ものづくりマイスター」から実技指導を受けられる。ものづくりマイスターは、112職種で1万695人の登録がある(2019年2月25日現在)。企業にものづくりマイスターを講師として派遣してもらう場合の実技指導費は無料(1日3時間程度)。実技指導において使用する材料費は受講者1人当たり2,000円までは補助される。

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