ビジネスQ&A
投資事業有限責任組合とは何ですか?
新たな資金調達手段の一つとして、「投資事業有限責任組合」というものがあると聞きました。この組合の内容について教えてください。
回答
業務執行を行わない組合員が負う責任を出資額にとどめることで、投資家が投資しやすくなりました。また、銀行の出資が独占禁止法の5%ルールの適用除外になります。また、組合財産は全組合員による共有となり、組合には法人税がかかりません。 投資事業有限責任組合制度は、平成10年5月に成立(同年11月施行)した中小企業等投資事業有限責任組合契約に関する法律に基づくものです。その制度の内容と仕組みについて説明します。
【投資事業組合】
将来上場や株式公開を目指すベンチャー企業は、経営者などの保有する未公開株式を譲渡したり将来株式に転換できる予約権の付いた社債を発行して、必要な資金を調達します。投資家は、将来の売却益を期待してベンチャー企業の株式または新株予約権付社債に投資しますが、ベンチャー企業などは事業リスクも高く、確実に上場や株式公開する保証もありませんので、機関投資家などの投資家は、投資事業組合(ファンド)を組成しそれぞれが出資額に応じて、投資する株式や社債の持分を保有します。
【投資事業有限責任組合制度発足の背景】
従来は、投資事業組合は民法上の組合として組成され、投資事業組合の業務執行にタッチしない投資家も無限責任となり、出資額以上の責任を負うリスクがありました。そのため、投資家がリスクを嫌い、円滑にベンチャー企業に資金が供給できないという課題をもっていました。そこで、業務執行を行わない組合員が負う責任を出資額にとどめること(有限責任)を法的に担保する「投資事業有限責任組合」の制度を創設することにより、幅広い投資家層による中小企業・ベンチャー企業への投資供給を促進することになったわけです。
なお、平成16年の法改正により、投資対象は中小企業に限定されず、「事業者」であればよいことになりました。つまり、大企業でもよいということになったわけです。
【有限責任組合のメリット】
従来、銀行法、独占禁止法上銀行が1社の総株式に占める保有株式の割合は5%以内というルールがありましたが、銀行の出資が、投資事業有限責任組合法に基づく投資事業組合の有限責任組合員の場合は、原則として、5%ルールの適用除外になります。また、組合財産は全組合員による共有となり、組合には法人税がかかりません。
【実際の投資事業有限責任組合】
たとえば「いわてベンチャー育成投資事業有限責任組合」は、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社が業務執行組合員(無限責任組合員)となり、公益財団法人いわて産業振興センター(有限責任組合員)とともに10億円の有限責任組合を設立し、県内のベンチャー企業への投資と事業の育成を行っています。このように、無限責任組合員は、通常ベンチャーキャピタル会社、投資育成会社などベンチャーファンドの管理、運営の専門会社があたることになります。また、有限責任組合は、設定のたびに「第○号投資事業有限責任組合」という名称で、投資対象会社、基金額、期間などが設定されます。
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中小企業政策研究会
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