税制メリット
中小企業経営強化税制、中小企業投資促進税制
2023年1月内容改訂
中小企業者等(個人事業主を含む、以下同じ)が設備投資を行った場合、国は生産性を高めるような設備等の取得を支援する観点から、設備投資の場合の税制優遇措置を設けています。設備投資を検討する際には、税制上のメリットも併せて導入効果を判断してみてはいかがでしょうか。
中小企業が設備投資をする場合の税制上の優遇措置
中小企業者等が設備投資を行った場合、分割払いでなければお金が会社の外に一気に出ていきます。一方、会社経理上も税務上も、設備については減価償却という考え方で処理する必要があるため、設備について支払ったお金の一部ずつしか経費になりません。
そこで、国は生産性を高めるような中小企業者等の設備取得を支援する観点から、設備投資を行った場合の税制優遇措置を設けています。これにより企業は、設備投資の費用の全額を経費にしたり(即時償却)、設備投資額の何割かの税負担を安くしたり(税額控除)することが可能となります。
中小企業者等が設備投資を行う場合の税制上の優遇措置には、主に次の2つがあります。
- 中小企業経営強化税制
- 中小企業投資促進税制
以下、この2つの税制優遇措置の概要をご説明します。実際に適用を検討される際は、税理士等の専門家に詳細をご確認ください。
中小企業経営強化税制
(1)制度の概要
本制度は、中小企業等経営強化法の認定を受けた「経営力向上計画」に基づき、一定の設備の取得等をした場合に、即時償却または取得価額の10%が税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人は7%※)できる制度です。所有権移転外ファイナンス・リース取引により導入した設備は、税額控除のみ適用可能です(以下同じ)。
※税額控除は、中小企業投資促進税制の税額控除との合計で、その事業年度の法人税額20%が限度です。なお、限度額を超える金額については、翌事業年度に繰り越せます。
(2)対象者
青色申告書を提出する資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人で一定の要件を満たすもの※、または常時使用する従業員数が1,000人以下の中小企業者等で中小企業等経営強化法の認定を受けた方が対象です。
※次に掲げる法人以外の法人であること
イ その発行済株式又は出資(自己の株式又は出資を除きます。以下同じです。)の総数又は総額の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている法人
ロ 上記イのほか、その発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を複数の大規模法人に所有されている法人
(注1) 大規模法人とは次に掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。
1) 資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
2) 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
3) 大法人(次に掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある法人
イ 資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人
ロ 相互会社及び外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人
ハ 受託法人
(注2) 令和3年4月1日前に取得等をした対象資産についてこの制度の適用を受ける場合には、上記(注1)の大規模法人から独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小企業等経営強化法の認定を受けたいわゆる事業承継ファンドの出資に係る部分に限ります。)を除きます。
4) 100%グループ内の複数の大法人に発行済株式又は出資の全部を直接又は間接に保有されている法人(3)に掲げる法人を除きます。)
(3)対象設備
次の表の設備で、指定事業の用に供するものが対象です。
出典:中小企業庁「中小企業税制パンフレット」P9
なお、設備は国内への設備投資で、事業の用に直接供される必要があります。また、中古資産や貸付資産は適用対象外です。指定事業その他の詳細は、次のリンクよりご確認ください。
(4)手続き
適用を受けるためには、確定申告書等に明細書と経営力向上計画書の写し、経営力向上計画に係る認定書の写しを添付して申告する必要があります。
中小企業投資促進税制
(1)制度の概要
本制度は、中小企業者等が機械装置等導入の際に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除(資本金3,000万円超1億円以下の法人については税額控除の適用なし)を選択適用できる制度です。こちらは、中小企業等経営強化法の認定がなくても活用できる税制です。また、中小企業経営強化税制とは対象設備が異なるため、会社の業種や設備の種類によってどちらかを適用することになります。
(2)対象者
青色申告書を提出する資本金または出資金が1億円以下の法人で一定の要件を満たすもの※、または常時使用する従業員数が1,000人以下の個人事業主等が対象です。
※上記の中小企業経営強化税制対象者を参照
(3)対象設備
次の表の設備で、指定事業の用に供するものが対象です。
出典:中小企業庁「中小企業税制パンフレット」P21
指定事業その他の詳細は、次のリンクよりご確認ください。
(4)手続き
確定申告書に必要事項を記載し、最寄りの税務署に申告することで適用できます。
まとめ
- 中小企業が設備投資をする場合の主な税制優遇措置には、(1)中小企業経営強化税制、(2)中小企業投資促進税制の2つがある
- 中小企業経営強化税制は、中小企業者等が認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得した場合に、即時償却または10%(資本金3千万円超1億円以下の場合7%)の税額控除ができる制度
- 中小企業投資促進税制は、中小企業者等が機械設備等の導入時に、取得価額の30%の特別償却または7%の税額控除ができる制度