税制メリット

小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資制度)

2023年1月内容改訂

経営資源に限りのある中小企業、小規模事業者にとって、各種施策や補助金等の情報を入手して活用することは、非常に有効といえます。特に、資金面に課題を持つ事業者は多いのではないでしょうか。

融資制度を活用してみよう

企業を存続させるには、事業活動の維持・発展が求められます。事業の維持・発展には、設備投資や研究開発、新商品開発、販促活動等において、継続的に資金が必要となります。規模の小さな企業が自己資金ですべてをまかなうのはとても難しいと思いますが、そこで活用していただきたいのが融資制度です。「融資」と聞くと、「手続きが面倒なのでは」、「融資を受けても利息がかさみそう」、「保証人や担保はどうしよう」、「そもそも自社に融資をしてくれるのか」といった疑問や不安がある事業者も多いと思います。

ここでは、そのような懸念を払拭できる「マル経融資制度」をご紹介します。

マル経融資制度の概要

この制度は、商工会・商工会議所に申込みをし、審査を通過すると日本政策金融公庫から融資を受けられるというものです。対象となる資金は、設備資金および運転資金で、融資限度額は2,000万円です。貸付期間は、設備資金の場合は10年以内、運転資金の場合は7年以内となります。

なお、この制度の対象者は小規模事業者に限定されます。小規模事業者かどうかは従業員数で決まります。具体的には「製造業」、「宿泊業」、「娯楽業」の場合は従業員20名以下、その他の「商業」、「サービス業」の場合は5名以下となっています。また、法人のみならず個人事業主の方も対象になります。

マル経融資制度の概要

融資を受けるための要件

融資を受けるためには、いくつかの要件があります。以下に挙げる項目すべてを満たしていれば、対象になります。

(1)商工会・商工会議所の経営指導員による経営指導を原則6ヵ月以上受けていること

マル経融資の申込みは、商工会・商工会議所に対して行います。経営指導と聞くとハードルが高いと思うかもしれませんが、商工会・商工会議所には経営指導員という方が在籍しており、事業者はその方に「〇〇に困っているのですが…」といった経営に関する相談をすることができます。基本的には、商工会・商工会議所の会員であれば無料で経営指導を受けることができ、地域によっては非会員でも無料になります。

まずは、お近くの商工会・商工会議所に問い合わせてみるとよいでしょう。この経営相談(経営指導員による経営指導)を原則6ヵ月以上続けると、(1)の要件はクリアになります。

(2)所得税、法人税、事業税、都道府県民税等の税金を原則として完納していること

納税を滞りなく行っていることは、事業者が適切に事業活動を行っている1つの指針と判断されます。納税義務をすべて果たしていれば、(2)の要件はクリアになります。

(3)原則として同一の商工会等の地区内で1年以上事業を行っていること

事業者の主たる事業活動地域が一定期間固定されることは、その地域に根づいた活動を行っていることにつながります。また、マル経融資制度を申し込む際に事業活動地域が点々としていては、どこの商工会・商工会議所に依頼をすればよいかがあいまいになってしまいます。同一の商工会等の地区内で1年以上事業を行っていれば、(3)の要件はクリアになります。

(4)商工業者であり、かつ、日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいること

実際に融資を行うのは日本政策金融公庫ですので、その融資対象業種を営んでいる必要があります。基本的には、ほとんどの業種が融資対象業種になりますが、一部対象外の業種もあります。担当の経営指導員または日本政策金融公庫に確認いただくとよいでしょう。

以上、(1)~(4)のすべてを満たしていれば、融資対象となります。

担保や保証人、利息について

融資を受けるための要件を満たし、いざ融資を受けようと思っても、「担保や保証人はどうしよう」、「利息の負担が大きくなりそう」等の懸念材料は残っているでしょう。実はこのマル経融資制度は、担保や保証人を必要としない「無担保・無保証人」の制度です。担保となるような資産がない、保証人を立てることが難しい、といった事業者でも、安心して活用いただけます。

また利息は、日本政策金融公庫が定める基準金利よりも低い「低利融資」となっています。金利は変動するため、詳しくは日本政策金融公庫に問い合わせていただくことになりますが、参考までに令和5年1月4日現在は1.30%です。無担保・無保証人、かつ低利融資ですので、ぜひ積極的に活用を検討いただくとよいでしょう。

手続きの方法

まずは、担当の経営指導員にマル経融資制度を活用したい旨をお伝えください。経営指導員が所属する商工会・商工会議所に報告を行い、審査会での審査が行われます。その後、商工会・商工会議所が日本政策金融公庫に融資の推薦をし、日本政策金融公庫の審査を通過すれば、無事融資の実行となります。

事業者は、経営指導員にマル経融資制度の活用を伝えた後は審査を待つ形となり、とてもシンプルです。

マル経融資制度の手続きの流れ

新型コロナウイルス感染症関連について

新型コロナウイルス感染症により影響を受けた方は、通常の融資限度額に1,000万円が別枠として追加されます。具体的には、最近1ヵ月間の売上高または過去6ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高が前4年のいずれかの年の同期と比較して5%以上減少している、またはこれと同様の状況にある方が対象になります。
まずはお近くの商工会・商工会議所に相談されるとよいでしょう。

まとめ

  1. 融資を受ける際の第一歩として、マル経融資制度の活用がおすすめ
  2. 設備資金や運転資金を対象に、2,000万円まで融資を受けられる
  3. 融資対象は従業員数で判断され、法人のみならず個人も対象となる
    ・製造業、宿泊業、娯楽業は20名以下
    ・その他の商業、サービス業は5名以下
  4. 融資要件は以下の4つすべてを満たすことが必要
    ・経営指導員による経営指導を原則6ヵ月以上受けている
    ・税金をすべて納めている
    ・原則、同一地区内で1年以上事業を行っている
    ・日本政策金融公庫の融資対象業種を営んでいる
  5. 無担保・無保証人、低利の融資制度
  6. 手続きは担当の経営指導員に申込みを行い、審査の連絡を待つ
  7. 審査を通過すれば、日本政策金融公庫から融資が実行される
  8. 新型コロナウイルス感染症により影響を受けた方は、一定の条件を満たせば別枠として1,000万円が用意されている