売上アップの教科書
自店の客層にあわせたPOP(POP5回目)
2011年1月19日更新
ひとくちに効果的なPOPといっても、その答えは様々です。業種や業態の違いはもちろん、立地や店舗スペースなどといった条件の違いによって、お店ごとにターゲットとする客層が異なるからです。あるケースで効果があったPOPでも、ターゲットが異なるお店に設置してしまうと、効果が出ないばかりか、お店に違和感が漂い、今までのお客様ですら離れてしまいかねません。例えば、暖かい雰囲気づくりを目指しても、40歳代の男性がメインターゲットのお店で、ピンクやオレンジを基調としたPOPばかりが並んでいたらどうでしょうか?きっと、「この商品は女性がターゲットなのかな?」「自分にはちょっと合いそうにないな」と感じてしまうお客様が増えてしまうでしょう。また、情報が何よりだと思っても、高齢者の方が多いお店なのに、小さい文字ばかりが並ぶPOPばかりだと「読みづらい」などの苦情が多発するだけでなく、お客様に対して不親切な店と言われかねません。
つまり、効果的なPOPを作るためには、自店のターゲット層を深く知ることが重要なのです。
POPを書く際に重要になるのが、メインターゲットの性別と年齢です。POPの色使いや文字の大きさ、文字数、イラストの有無などに関わってきます。さらに、興味を持つことも読む雑誌も違いますから、その年代で流行しているものなどを研究することにより、効果的なキャッチコピーも書くことができるようになるのです。
ターゲットを考える際は、次の順序で考えていきます。
- 現状のお客様のうち多い性別は?
- 現状のお客様で、最も多い年代は何歳代か?
- 上記をさらに絞り込むと、その年代の前半なのか後半なのか?
- そのターゲットの方を中心とした代表的な家族構成は?
- そのターゲットの方がよく読む雑誌は?
以上5つの内容をおさえると、メインとなるターゲット層をしぼりこむことができます。
ちなみに、ターゲットを明確にすることはPOPを書くだけでなく、商品MD・販促・接客サービスなど経営に関する全てに関わってきます。この機会に掘り下げて考えてみることをおすすめします。
それぞれの客層に対してどのようなPOPが効果的なのかをご紹介しましょう。
【50歳以上の女性】
「価格」訴求より「価値」訴求
「健康」「安全・安心」「お孫さんへ」などが有効なキーワード
楷書体などの読みやすい黒色の文字で1cm角以上の大きさで
【30歳代の主婦】
買い物の優先順位は「子供→自分→夫」
「節約」「お買い得」のほか、「テレビなどで話題」が有効なキーワード
筆ペン、ポスカ、色鉛筆など、基本的にはどのようなPOPでもOK
【20~40歳代の独身女性】
自分自身のことに最もお金をかける、裕福
「テレビなどで話題」「芸能人の○○さんも御用達」などが有効なキーワード
筆ペン、ポスカ、色鉛筆など、基本的にはどのようなPOPでもOK
【20歳以下の女性】
「カワイイ」「キラキラ」「にぎやか」などが有効なキーワード
同年代のモデルや芸能人の動向に敏感
筆ペン、ポスカ、色鉛筆など、基本的にはどのようなPOPでもOK
【男性客の場合】
カラフルより白黒、丸より四角、やわらかい雰囲気よりスマートさが重要
POPでは、イラストや写真も必要だが文章力が重要
手書きPOPよりもパソコン作成POPが有効
以上が代表的な例です。性別での違いが最も大きく、これは性別による脳の働きの違いが理由とされています。男性に比べて女性は、右脳を働かせて情報を読み取ることが得意なため、POPでもイラストや写真から感覚的に受け取ることが多いのです。
このように、ターゲットによって有効なPOPは異なります。だからこそ、自店のターゲットをよく知り、求められる情報提供の手法を探ることが重要なのです。
プロフィール
今野 良香 ( こんの りょうか)
船井総合研究所コンサルタント。成蹊大学経済学部卒業後、船井総合研究所に入社。食品製品小売業のコンサルティングに従事し、「手書きPOP」と「売り場づくり」による短期間・ローコスト・リニューアルで業績アップを実現してきた。POPおよび売り場づくりの研修も行う。著書に『誰でもすぐにつくれる!売れる「手書きPOP」のルール』など。
掲載日:2011年1月19日