ビジネスQ&A

外注先に対する品質管理指導の進め方について教えてください。

当社では、コア技術強化のために、自社で製造する製品と外部に製造委託する製品の振り分けを進めています。外部への製造委託が今後増加することに伴って、外注先への品質管理指導を徹底する必要があります。この指導の進め方についてのポイントに関して、アドバイスをお願いします。

回答

外注先の品質管理は、社内の品質管理の一部と考え、外注先経営者の品質意識向上を図り、外注先での品質保証体制を確立する必要があります。このためには、外注先の実態を把握し、品質保証体制を自社のレベルまで上げられるように外注先と一緒になって課題を解決していきましょう。

外注先へ発注する仕事は、社内の仕事の一部と考えるべきです。よって外注先の品質管理も、社内の品質管理の一部と考えることが大切です。一般的には、社内より外注先の品質管理レベルが劣ることが多く、自ずと外注先の品質管理指導が必要になってきます。

品質管理には当然、手間とコストがかかります。外注先の経営者が品質管理を仕方なくやるケースと、品質管理の必要性を認識して、品質向上・コストダウンを目指すケースとでは大きな差がつくことは明らかです。ある外注元の品質管理指導マニュアルには、冒頭に「品質管理の良し悪しは経営者の姿勢が第一である」として「次行程はお客さま」という方針を打ち出しています。これによって、外注先の経営陣に動機付けを促しています。

外注品の品質が悪い場合には、どのような問題が起きるでしょうか。ちょっと考えてみたいと思います。

  • 外注元での手直し品が増加して、加工費がかさみます。
  • 外注品を組み合わせて完成・納品した製品にクレームが発生し、交換費用、通信費、営業担当者の旅費・交通費など余分な経費が発生します。
  • 外注品の不良によって製品が返品となり、食料品などは再生不可能となって外注元に不良コストのすべてがのしかかります。
  • 最悪の場合、得意先から取引停止を宣告され、大きな売上を失います。

以上のようなことが発生しないよう、外注先での品質保証体制を確立する必要があります。品質保証は「基準」および「事実」に基づいて構築されるべきです。基準と事実が蓄積されて、品質に関するノウハウが蓄積され、品質保証体制ができ上がってくるのです。ここで言う「基準」とは、検査基準、作業標準書、保管基準書、作業指導書などであり、「事実」とは、検査成績書、作業報告書、クレーム発生対応報告書などに記録されていることです。外注先にもこのようなノウハウの蓄積を行ってもらい、自主的に品質保証を行えるように支援していくことが、外注元に有利に働くことは間違いのないところです。

外注先の品質管理の指導を行っていくうえで、まず必要になってくるのが、外注先の実態把握です。この実態把握を行うには、「外注先チェックリスト」というようなものを作成・活用して、外注先の品質管理の有効性を調査します。チェックリストの例を表1にあげますので、参考にしてください。このチェックリストの結果をもとに、外注先での課題を抽出し、適切な対処を行ってください。新たな「基準」が必要であれば作成を指導し、その基準が守られているかの検証ができるようにするため「事実」を記録するよう指導を行ってください。この繰り返しによって、外注先の自主的な品質保証体制を構築してください。

外注先チェックリストの例 外注先チェックリストの例
回答者

中小企業診断士 高橋 順一