仕事の平準化や従業員の多能工化で、人材確保を実現:株式会社坂口捺染
人材確保/採用 人材定着支援:事業再構築補助金 参照元記事:2024年6月
・【悩み】繁忙期と閑散期の差が激しく、人材が定着せず、技能も向上しない
・【対応】仕事の平準化や従業員の多能工化、フレックスタイム制の導入、5億円以上の設備投資で職場環境の改善
・【成果】従業員が14人から180人、売上は1億円から10億円以上に
企業概要
・着物の染めを行う会社として1953年に創業。その後、パジャマや肌着のプリントや名入れを行うプリント業に転身した。現在は、ノベルティー用のTシャツプリントなどを手掛けている。
悩み
・仕事はアパレル商社の下請けとしてのプリント加工が中心のため、繁忙期は残業代を払って遅くまで従業員に働いてもらい、閑散期は最低限の保証料を渡して仕事を休んでもらっていた。
・さらに、プリント業には3K(きつい・きたない・危険)のイメージがあり、人材が定着せず、技能も向上しない点が課題となっていた。
・シーズンに左右されない小口の仕事を獲得しようと、社長1人で営業に駆け回っている状態だった。
対応
・5年かけて小口の取引先の拡大と仕事の平準化を進めた。ライバルであるネット系のプリント受託業者に声をかけ、協業を打診。双方で仕事の繁忙期がずれるため、うまく仕事を調整して、融通をしあえるようになる。
・社長が得意なセールストークを協業先に伝授することで、ウインーウインの関係になり、仕事量が増加。
・パート従業員に複数の仕事を覚えてもらい、徹底した多能工化を進めた。それぞれが臨機応変に働けるようになり、出退勤時間を自分の都合で自由に設定できるフレックスタイム制を導入。子育て中のシングルマザーや家族の介護が必要な人なども働きやすい環境を整えた。
・パート従業員の賃金は、最低賃金レベルからスタートするが、仕事を覚えることで毎年賃金を引き上げていく賃金体系とした。長く働き続けるインセンティブともなっている。
・工場を新設しエアコンを導入。トイレをきれいにするなど、4年間で5億円以上の設備投資を行い、職場環境の改善に取り組む。事業再構築補助金を活用して、生産工程の効率化も進めた。
成果
・環境改善前の従業員は14人程度の規模。今では、役員と正社員が30人、パートが80人、準社員・委託所勤務が100人という体制まで拡充した。
・パート募集をSNSに書き込むと、5日間で70人も応募が来る。
・付加価値の高い大口商品を手掛けるようにもなり、社長が事業を引き継いだ時に、1億円だった売上高は10億円を超え、成長を続けている。
ストーリー
株式会社坂口捺染の地域密着の取り組みについてさらに詳しくご覧いただけます。
企業データ
- 企業名
- 株式会社坂口捺染
- 設立
- 1953年4月
- 資本金
- 1000万円
- 従業員数
- 180名
- 代表者
- 坂口 輝光
- 所在地
- 岐阜県岐阜市中西郷1丁目14
- 事業内容
- シルクスクリーンプリント、インクジェットプリント