ビジネスQ&A

顧客台帳をパソコンでつくる方法を教えてください。

昭和初期から続く酒販店を経営しています。いままで紙でしか管理していなかった顧客台帳を、パソコンを使って管理しようと思っていますが、どのように管理したらよいか分かりません。アドバイスをお願いします。

回答

顧客台帳をつくると言ってもそんなに身構える必要はありません。まずはお手元にある表計算ソフトで、一覧をつくることから始められてみてはいかがでしょうか。それをやるだけでも、経営改善への第一歩となります。

昭和初期からのお店ということで、お店の台帳にはかなりのお客さまの数が記されているのではないかと推察いたします。これらのデータを、データベース化することによって、さまざまな販売促進活動に応用することができます。

たとえば御社の場合ですと、お中元・お歳暮時期のDM発送に使用したり、膨大な数のお客さまの中から現在もアクティブなお客さまを把握できたり、購買金額や購買頻度によるお客さまのランク付けを行い、効果的な販促活動に役立てることなどが考えられます。

顧客台帳に記録する情報の例 顧客台帳に記録する情報の例
図1 顧客台帳に記録する情報の例

パソコンで顧客台帳を作成するには、いくつかの方法が考えられます。

  1. Excelなどの表計算ソフトで作成する方法
  2. 市販の顧客管理ソフトを使う方法
  3. Accessなどのデータベースソフトで作成する方法
  4. 自社開発のアプリケーションを使う方法

難易度は1から4の順に高くなっていきます。一般的に顧客の数や、応用したい範囲によって4に近い方法を選んでいきます。

御社の場合は事業規模やお客さまの数、応用したい範囲を勘案しますと1か2の方法が適していると思われます。1の方法は、Excelに代表されるような表計算ソフトを使って顧客台帳を作成する方法です。お客さまの氏名・住所・電話番号・メールアドレスなどを一覧にすれば、立派な顧客台帳になります。そこに日々の売上高のデータを書き加えていくだけでも、販売促進に役立つ情報を集めることができます。一度顧客台帳をつくっておけば、検索機能やソート(並べ替え)機能を使うこともできます。今月の売上高のベスト10といった情報も、瞬時に見ることができます。

メリットは何といっても手軽さにあります。Excelでしたらパソコンを購入すると既に入っている機種も多くあります。デメリットは、細かい分析には不向きであることです。たとえば、売上総額を顧客別に集計することはできても、品目別の集計はできないなどということがあります。

2の方法は市販されている顧客管理ソフトを購入して活用する方法です。 それぞれのソフトによって機能や特性は異なりますが、比較的簡単な操作で複雑なデータを入力し、解析できるのがメリットになります。製品によってはサポートサービスも付いてきますので、操作方法が分からない場合には、電話などで質問ができるというメリットもあります。

デメリットとしては、各製品独自の仕様になっているため簡単にソフトの乗り換えができない、ある程度汎用的につくってありますので、自社の業務に合わない点があり、それを直すことができない、などがあげられます。

3のデータベースソフトを活用する方法は上記の2つの方法に比べ、ぐっと難易度が高くなりますが、もし実現できれば自社業務にカスタマイズされたかなり高度なことができるようになります。Accessというデータベースソフトの講座は各地でも開催されているので、チャレンジされてもよいと思います。ご自分では自信がないという場合には、外部のソフトウェアハウスやコンサルタントに相談して外注してしまうのも一つの方法です(当然お金はそれなりにかかります)。

メリットはかなり高度な解析や業務が実現できるという点です。たとえば今年のお中元には注文がなかったが、前年のお歳暮には発注をしていた人の一覧を出し、そのリストからDM用のラベルを印刷するといったことが可能になります。

デメリットとしては、ある程度専門的な知識が必要になってくることがあげられます。先にも述べたように、外部の専門家に委託する方法もありますが、そうなるとかなりコストがかかります。

4の方法は、自社独自のアプリケーションを外部のソフトウェアハウスに開発してもらうやり方です。

一番、自社の業務にフィットしたシステムが構築できるというメリットがありますが、もっともコストがかかる方法です。規模が小さい場合には、オーバースペックになってしまうことも考えられます。

どの方法を選んでも顧客台帳をデジタル化するということは、販促活動に有効なだけではなく、ITを活用した経営改善の一歩になります。最初はとっつきにくいかもしれませんが、とても意味のあることですので、ぜひ頑張って実現していただきたいと思います。

回答者

中小企業診断士 遠藤 康浩

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