事業承継・事業再生

事業再生支援制度

2020年 2月25日

業績不振による赤字続きで借入金が増加し、金融機関等からの追加融資を受けられず、資金繰りができなくなった企業は、事業継続が困難な状況になります。その企業が行う事業に市場性やブランド価値がある場合、そのまま倒産してしまうのはもったいないことです。

企業に再建できる見込みがある場合、事業再生を行うことで、倒産を免れることが可能になります。事業再生を行うためには資金調達が必要になりますが、それを助ける制度として「事業再生支援制度」があります。

事業再生支援制度の概要

事業再生支援制度は、法的手続や国の公的機関(再生支援協議会等)を利用した私的整理手続による再建計画の途中にある中小企業に対し、信用保証協会が資金に関する保証を行うことで、事業再生の円滑な進捗を図る制度です。

事業再生支援制度は、対象者と支援内容の違いにより、「事業再生保証制度(DIP保証制度)」と「事業再生円滑化関連保証制度(プレDIP保証制度)」があります。

事業再生保証制度(DIP保証制度)

この制度を利用できる対象者と支援内容は、次のとおりです。

<対象者>

次の1. 2. 3.のいずれにも該当する中小企業者

  1. 次の1)2)のいずれかに該当する方
    1. 民事再生法(経営者の続投可能)または会社更生法(経営者の続投不可能)による手続きを行っている方
    2. 民事再生法(平成11年法律第225号)第188条第1項の規定に基づき、裁判所から再生手続終結の決定を受けた方(再生計画が遂行された場合、その他の経済産業省令で定める場合を除く)
  2. 裁判所による再生計画の認可または更生計画の認可の決定が確定した後3年を経過していない方
  3. 次の1)及び2)のいずれにも該当する方
    1. 金融機関からの融資や取引先からの支援が得られており、事業の再建に合理的な見通しが認められること
    2. 借入金等の債務の償還が見込まれること

<支援内容>

民事再生法等の法的手続によって再生を行う中小企業に対する事業資金の融資を、円滑かつ迅速に行うための保証制度です。この制度は、民事再生法等の手続きの申し立てから手続きの開始決定までに申し込まれた融資についても利用できます。

保証限度額

2億円

保証割合

100%

保証料率

年率2.2%

保証人条件

原則として法人代表者以外の保証人は不要

担保条件

担保が必要になる場合あり

保証期間

10年以内

保証の申し込み

金融機関を通じた申し込み
必要な添付書類:民事再生法等の手続開始申立書等

事業再生円滑化関連保証制度(プレDIP保証制度)

この制度を利用できる対象者と支援内容は、次のとおりです。

<対象者>

金融機関の支援が得られており、事業の再建に合理的な見通しが認められ、次の1. 2.のいずれかに該当する方

  1. 事業再生ADR(裁判所による手続きを使わずに、当事者間の話し合いで事業再生の紛争を解決する手続き)によって事業再生を図ろうとする方
  2. 中小企業基盤整備機構や認定支援機関(中小企業再生支援協議会等)の指導または助言を受けて事業再生を図ろうとする方

<支援内容>

民事再生法等の法的手続によらずに再生を行う中小企業の方に対する事業資金の融通を、円滑かつ迅速に行うための保証制度です。

保証限度額

2億8,000万円
普通保険にかかる保証    2億円
無担保保険にかかる保証   8,000万円
特別小口保険にかかる保証  2,000万円以内
(中小企業者が組合等の場合は4億8,000万円以内)

保証割合

80%(部分保証)
(特別小口保険の対象となる中小企業者は100%(全額保証))

保証料率

1.76%

保証人条件

原則として法人代表者以外の保証人は不要

担保条件

担保が必要になる場合あり

保証期間

3年以内

保証の申し込み

<金融機関を通じた申し込み>
必要な添付書類:特定認証紛争解決事業者(法務大臣の認証を受けた民間紛争解決手続を行う事業者のうち、一定の要件を満たすものとして、経済産業大臣の認定を受けた者)が手続を実施していることが確認できる書面、中小企業基盤整備機構や認定支援機関(中小企業再生支援協議会等)が事業再生計画の作成について指導、助言を開始したことを証する書面等

事業再生支援制度についての問い合わせ先

  • 一般社団法人全国信用保証協会連合会
    電話:03-6823-1200

まとめ

  1. 事業再生支援制度は、再建計画の途中にある中小企業に対し、信用保証協会が資金に関する保証を行うことで、事業再生の円滑な進捗を図る制度である。
  2. 事業再生支援制度は、対象者と支援内容の違いにより、「事業再生保証制度(DIP保証制度)」と「事業再生円滑化関連保証制度(プレDIP保証制度)」がある。
  3. いずれの制度も、原則として法人代表者以外の保証人は不要で、担保が必要になる場合がある。

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