販路開拓・商品開発
JICA「中小企業・SDGsビジネス支援事業」
2023年1月内容改訂
少子高齢化により国内需要が縮小しているわが国では、経済のグローバル化が加速しています。マーケットの拡大やビジネスチャンスを求めて海外進出を行う中小企業は増加しており、成長が著しく人口も増加している途上国や新興国に進出する企業も増えています。
JICAの「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は、自国の開発課題を解決したい途上国の開発ニーズと、開発課題解決につながる中小企業の製品/サービス・技術・ノウハウをマッチングさせ、JICAが開発課題の解決に向けた事業を民間企業に委託するODA(政府開発援助)事業です。
ODAのように、公的資金を使用した開発支援というと、以前は空港や道路を建設したりなどインフラ整備のイメージが強かったのですが、現在は中小企業の技術移転を通じた支援など、より身近なものになってきています。本事業に中小企業が参加することで、関係国での知名度向上、金融機関からの信用力向上、海外に関心の高い新卒人材からの求人の問い合わせ等につながるケースも見られています。
2018年7月30日からJICAの民間企業提案型スキームは、対象者や支援内容をよりわかりやすくするために、「中小企業・SDGsビジネス支援事業」としてリニューアルされました。さらに、2022年度の公示では開発途上国の開発需要の高まりとSDGs・ESG経営・インパクト投資の加速を受けて、「利便性の向上」「ビジネス化の一層の促進」「開発インパクトへの貢献」を目的に一部制度改編が試行的に実施されました。「中小企業・SDGsビジネス支援事業」は従来から存在するJICAから企業へ「調査」を委託して、企業がコンサルタントと契約をする①「調査委託型」(普及・実証・ビジネス化事業)、JICAがコンサルタントと共に企業のビジネス化を支援する「ビジネス化支援型」(ニーズ確認調査/ビジネス化実証事業)の2つの類型から構成されます。「ビジネス化支援型」(ニーズ確認調査/ビジネス化実証事業)が試行的に導入された新制度です。
「中小企業・SDGsビジネス支援事業」を活用するメリット
海外展開に関するさまざまな支援事業がある中、ここでご紹介する「中小企業・SDGsビジネス支援事業」には3つの大きなメリットがあります。
1つ目は、本事業に参画することで、民間企業のみでは困難な現地パートナーへのアクセスやJICAとの信頼関係がある途上国政府・自治体・業界団体などの紹介を得られること。JICAは日本全国15ヵ所以上の拠点だけでなく、世界約100ヵ所の拠点を有しています。また、政府関係省庁とのパイプを持つ人的ネットワークと、さまざまな専門知識や経験を持つ人材を保有しており、海外展開に当たっても貴重な情報源となります。2つ目は、開発途上国におけるビジネス化に向けた的確なアドバイスを開発途上国でのビジネスに造詣の深いコンサルタントから得られること。3つ目は、JICAと共同で成果を発信することで、国内外の認知度向上やパートナー拡大が期待できることです。
「中小企業・SDGsビジネス支援事業」の対象となる法人区分
この事業の対象者は、中小企業、中小企業団体(事業協同組合他)、中堅企業、みなし大企業、その他本邦登記法人と幅広い区分の法人が対象となっています。応募資格としては、対象国での持続的なビジネスの実現には、安定した経営基盤及び実証された製品・技術・ノウハウであることが重要なため、財務要件及び提案製品・技術・ノウハウの国内外いずれかの販売実績が必要となります。中小企業が対象となるのは、ビジネス化支援型のニーズ確認調査、ビジネス化実証事業、調査委託型の普及・実証・ビジネス化事業の中小企業支援型になっています。
また、直近の2022年度第二回目の公示から、以下の変更点がありました。必ず公募要領を確認しましょう。
(1)対象国
エチオピアを事業対象国として追加。ブルキナファソが安全管理上等の理由から事業対象外となります。
(2)公示回数
2022年度以降は年2回から1回の公示を予定。
応募方法
同内容の提案について「普及・実証・ビジネス化事業」と「ビジネス化実証事業」の併願が可能です。ただし、それぞれのスキームにそれぞれ指定の企画書の形式でご応募いただく必要があり、また、どちらか一方のスキームでの採択となります。
まとめ
- 中小企業の海外展開には、相手国政府関係省庁のパイプを持つ「中小企業・SDGsビジネス支援事業」がおすすめ
- 中小企業、中小企業団体の一部組合、中堅企業は「ビジネス化支援型」ニーズ確認調査、ビジネス化実証事業、「調査委託型」普及・実証・ビジネス化事業の中小企業支援型が対象
- ニーズ確認調査、ビジネス化実証事業、普及・実証・ビジネス化事業の3つからなる事業