ビジネスQ&A
SDGs(エスディージーズ)について教えてください。
2020年12月25日
製造業を経営しています。最近、SDGsという言葉をよく聞きます。私たちも社会的責任を果たすためにこの取り組みに参加したいと考えていますが、資金力がなくてもSDGsに取り組むことはできるのでしょうか。
回答
資金力がない企業であっても、できるところからSDGsに取り組むことは可能です。持続可能な開発目標であるSDGsは、目標の8番目に「働きがいも、経済成長も」という項目が設定されています。利益の成長が含まれている点が、同類の取り組みと違うSDGsのポイントといえます。御社の成長を盛り込んだSDGsの取り組みを検討してみてください。
【SDGsとは】
SDGsは、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)として、2015年の国連サミットで採択されました。2030年に向けた持続可能な開発に関する地球規模の優先課題や世界のあるべき姿を明らかにし、一連の共通の目標やターゲットを軸に、地球規模の取組みを動員しようとするものです。具体的には、17個の目標と169のターゲットが設定されています。17個の目標すべてを達成する必要はありません。17のアイコンは、使用ガイドラインに沿っていれば以下サイトからダウンロードして企業のカタログ、ホームページに利用することができます。また、ロゴの利用にあたっては目標達成を要件としておらず、該当する目標に取り組んでいればガイドラインに沿ってロゴを利用できます。
【企業にとってSDGsが重要な理由】
企業として、戦略、ゴール、活動などを立案し、運用し、周知し、報告する上で、それら全体を包括するフレームワークとしてSDGsを活用することができ、企業にとって次のようなメリットがあります。
事業拡大が期待できる市場の見極め
世界規模の投資の流れは、SDGsの代表とする課題に向かっているため、成長する市場が明確になります。
持続的に成長することによる企業価値の向上
企業が資源をさらに効率的に利用し、あるいは、より持続可能な代替策に転換することで、持続的な成長が期待でき、投資家が着目する企業価値が向上します。
ステークホルダー(利害関係者)との関係の強化、新たな政策展開との同調
SDGs と経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客、従業員、その他の利害関係者との協働を強化できます。
社会と市場の安定化
社会が機能しなければ、企業は成功でません。SDGs の達成に投資することは、ルールに基づく市場、透明な金融システム、腐敗がなく、良く管理された組織など、ビジネスの成功に必要な柱を支援することになります。
SDGsを共通言語として目的を共有
SDGsという共通言語を使って目的を共有することで、世界の最も緊急な社会的課題に取り組むために相互に協力できるパートナーをみつけることができます。
【実際にSDGsに取り組んだ企業が感じたメリット】
- プロジェクトチームを発足して自主参加としたことで社員の自主性が高まった。
- 若い人ほど社会・環境課題に取り組む企業に好感を持つため人材採用面で有利になり、売り上げは着実に伸びた。
- 社会に貢献し誇りを持てる仕事だと社員が実感し、離職率が激減した。
- 自社のビジネスが国連の目標と一致しているという自負が営業などの説得力にも繋がっている。
- 外務省に問い合わせ、リンクを申請したところ、約1カ月後に掲載され、ブランド力の向上につながった。
- エコロジーとエコノミーを両立し、持続可能な循環型社会の実現を目指す当社のビジネスチャンスを見出すことができた。
【企業がSDGsに取り組む5つのステップ】
ステップ1:SDGsを理解する
第一ステップは、企業がSDGsに関し十分に理解します。
ステップ2:優先課題を決定する
SDGsによってもたらされる最も重要な事業機会をとらえ、リスクを減らすために、企業は、そのバリューチェーン全体を通して、SDGsに関する現在および将来の正および負の影響を評価し、それに基づき、それぞれ優先的に取り組む課題を決定します。
ステップ3:目標を設定する
企業が目標設定することで、優先事項が共有でき、資源を集中させることができることで事業を成功に導きます。その企業の目標をSDGsと整合させることによって、企業は持続可能な開発に対する明確なコミットメントを明示します。
ステップ4:経営へ統合する
目標への取組みに向けて、持続可能性を中核事業に統合し、ターゲットをあらゆる部門に組み込みます。
ステップ5:報告とコミュニケーションを行う
SDGsに関する進捗状況を定期的に報告しコミュニケーションを行うことが重要です。
例えば、世界のトップ250社のうち、93%が持続可能性の達成度に関する報告を行っています。
自社の目標をSDGsに合わせて設定し、持続可能な社会の実現と共に企業の成長を目指しましょう。
参考資料:
- 回答者
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中小企業診断士/E-SODAN「専門家とのチャット」担当
宮本 知子