ビジネスQ&A
社員同士の仲が悪くて困っています。よい解決方法はありませんか?
高級婦人服や宝石の販売をしています。客単価を上げるために個人の売上に対してインセンティブを与えていますが、店員同士がお客様の取り合いをするなど、お店の雰囲気があまりよくなく、社員同士の人間関係で悩んでいます。何かよい解決方法はありますか。
回答
お店の雰囲気が悪い原因の一つには、評価制度が考えられます。評価制度を一部改善することも解決策の一つになります。また、店長のリーダーシップがお店を統制するために必要になります。
小売業に限らず、職場の人間関係のトラブルはどこの会社にもある問題です。会社としては、そのような人間関係の悪い状況に何らかの対処をしないと、会社を辞める人間が増えることも考えられ、会社の業績低下につながりかねません。以下にいくつかの対策を説明します。
【評価・報酬制度】
インセンティブという評価・報酬制度も、お店の売上を上げるためには必要な制度ではありますが、あまり売上にのみにこだわりすぎると、従業員の行動が売上を上げることばかりに向いてしまい、お店の全体売上、お店の雰囲気、顧客の満足感など店舗全体に気を遣わない行動をとってしまう可能性もあります。
お店の雰囲気が悪い原因は、お客様の取り合いが一つの原因と考えられます。売上に対してのインセンティブがお客様の取り合いを引き起こしているわけですから、インセンティブに対して、何らかの改善をすることも検討してみましょう。
たとえばインセンティブ制度の仕組みを修正することで、従業員の満足やお店の業績の向上につなげることも可能となります。具体的には、売上に対するインセンティブの割合を減らして、その分、次のような項目も評価・報酬項目に加えるなど、制度の変更を検討してみてください。
(1)お店の目標売上や目標利益
個人の売上ばかりではなく、お店の目標売上や目標利益を評価に加えれば、従業員はお店の全体業績に対しての意識が高まるでしょう。お店の目標達成のために、ほかの従業員の接客フォローなど、チームワークでの行動も増えると考えられます。
(2)教育
ベテランの従業員はそれなりの販売ノウハウを身に付けているはずです。ベテランの従業員が新人を教育し、販売ノウハウを新人が身に付けることができれば、お店全体の接客レベルが高まるでしょう。
新人の接客スキルの向上や成績が伸びた場合に、教育した従業員も評価される人事制度が望ましいです。個人の売上に対するインセンティブのみの評価の場合には、わざわざほかの従業員のために時間を取られたくない意識が働いてしまいます。
(3)その他
店舗業務には、接客以外にもお店のクレンリネス(Cleanliness)やディスプレイ、顧客への電話など基礎的な業務がいくつもあります。それらの業務は、お店の質を維持するうえで非常に大切な業務であり、接客以外のそのような業務が得意な従業員もいるでしょう。お店のオペレーション的な業務に対する評価も必要といえます。
個人の売上に対するインセンティブと合わせて他の評価項目を加えることにより、従業員によるお店の全体的な業績向上に向けた行動につながることが考えられます。段階的に評価制度などを改善してみてください。
【店長のリーダーシップ】
お店の人間関係を改善して雰囲気をよくするためには、お店のリーダーである店長の役割が非常に重要となります。店長は、従業員一人ひとりと面談を行うなど話し合いの場を設け、従業員の仕事に対する意見を聞くと同時に、お店の方針などを伝えましょう。
また、お店にある程度の緊張感も必要となりますので、店長が毅然とした態度で指示・命令することも大切です。従業員の役割分担をきっちり決め、うまく統制しましょう。
店長が、従業員のやる気を引き出すことはとても大切です。従業員を好き嫌いで判断せずに公平に接することで、従業員のやる気を高め安心して働ける職場づくりを心がけてください。
【ミーティング】
従業員同士で話し合いを行うミーティングを定期的に開催することも必要でしょう。ミーティングで話し合うことで、お互いの立場が理解し合えて、人間関係が改善していくことも考えられます。人間関係が改善し、お店の雰囲気が良くなれば接客にも余裕がでてくるため、お店の業績も向上するでしょう。
- 回答者
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中小企業診断士 沢田 一茂