ビジネスQ&A
ビジネスコミュニケーションの高め方を教えてください。
2024年 9月 27日
社内・社外を問わず、日常のビジネスをスムーズに遂行する上で、非常に重要となる「ビジネスコミュニケーション」の高め方について教えてください。
回答
ビジネスコミュニケーションを高めるためには、自分と相手との認識のずれを無くし、目的に対する方向性を合わせることが重要です。その為に、「伝える力」、「聴く力」、「質問する力」の3つのコミュニケーションの基本を意識することが必要となります。円滑なコミュニケーションがとれるようになることで、仕事上の目的達成に向けた必要な情報伝達や、理解のための連携が自然と行われ、結果的にビジネスコミュニケーションが高まってくるでしょう。
1.ビジネスコミュニケーションが重要な理由
ビジネスコミュニケーションには、社内の報告・連絡・相談や情報共有、社外との交渉、提案(プレゼンテーション)など、幅広い活動が含まれます。つまり、社内外における仕事上のコミュニケーション全般を円滑にするために欠かすことができないのが「ビジネスコミュニケーション」です。ビジネスを成功させるために無くてはならないビジネスコミュニケーションですが、なぜ重要なのか、理由を確認していきましょう。
(1)信頼関係構築のため
ビジネスは、自分だけで成功させることは非常に困難です。特に企業で働いている場合は、上司や部下、取引先など、社内外の方々と連携する必要があり、信頼関係の構築が欠かせません。そして、積極的にコミュニケーションをとることで情報共有や連携が円滑になり、社内外の信頼関係を築くことができるため、ビジネスの場においてコミュニケーションは大変重要な要素となります。
(2)円滑な業務進行のため
社内外問わず、ビジネスを円滑に進めるためには、関わる相手の状況を把握することが求められます。コミュニケーションをとり、相手の状況が理解できていれば、自分がどのように仕事を進めるべきかが明確になり、仕事を進めやすくなります。また、業務効率化やマネジメントをおこなう場合でも、円滑な業務進行が可能となります。
(3)企業価値の向上のため
信頼関係の構築や互いの状況把握に基づいたビジネスの進行により、企業やサービス、商品に関して、関係者の忠誠心やロイヤリティの向上が期待できます。それにともない、従業員のモチベーションが向上し、サービス品質の改善にもつながれば、企業価値を高めることにもつながるでしょう。コミュニケーションが活性化することで意思の疎通や風通しもよくなるという面も期待できるのではないでしょうか。
2.ビジネスコミュニケーションを高めるための3つの要素
ビジネスコミュニケーションは、社内外における仕事上のコミュニケーション全般のことですが、その本質は相手との共通認識を作り、関係を構築することにあります。特に自分と異なる立場にいる相手に対して意思疎通を図り、信頼を得ながら業務を進めていく際に必要となります。その意思疎通を円滑に行うために、重要な「ビジネスコミュニケーションを高めるための3つの要素」を確認しましょう。
(1)伝える力
伝える力とは、「自分の意見や情報を明確に相手に伝える力」のことです。伝えるのが苦手な人に多いのが、話のポイントやゴールが曖昧になってしまい、結局何が言いたいかわからないといったパターンです。まずは次の2点を意識することが必要です。
・わかりやすく伝える
自分が伝えたいことだけでなく、相手に話を理解してもらうことが重要です。例えば、専門用語や初めて聞く言葉を多く使われると、相手が話の内容を理解できない場合があります。つまり、相手が求めている情報が何かを理解し、その情報を充足させることを意識して、わかりやすい言葉でシンプルに伝えることが求められます。
・曖昧な表現は使わない
事実なのか、自分の意見なのかを区別して伝えること、具体的な期日や時間を曖昧にせず明確に伝えることが重要です。曖昧な言葉を使うと相手に誤って理解される可能性があります。「早めにお願いします」と伝えるのであれば「1時間後までにお願いします」など、具体的に伝えるようにしましょう。
(2)聴く力
聴く力とは、「相手の意図や情報をくみ取る力」です。その為には会話の内容をしっかり理解すると共に、自分が相手の話をしっかり聞いていることを伝え、相手に十分に話してもらうことが必要となります。そのために、次の2点がポイントになります。
・適度な相槌やアイコンタクト
会話中の相槌や、アイコンタクトがないと、相手は「自分の話をちゃんと聞いてくれているのか?」と不安になります。話を聞きながら適度に相槌やアイコンタクトを取ることで、相手の話をきちんと聞いていることを伝えることができます。
・相手の話を最後まで聞き、急かさない
相手が話している途中で会話を遮ったり、沈黙に耐え切れずに自分が話し過ぎてしまうことがあります。そうすると、自分の話を聞いてくれないと相手に感じさせたり、急がせてしまうことで十分に内容が整理されていない状態でコミュニケーションをとってしまう恐れがあります。まずは相手の話をしっかり聞いた上で、質問や提言を行う必要があります。
(3)質問する力
質問する力とは「相手から情報を引き出したり、不明点や疑問点について深堀りする力」のことです。質問する力が身につくと、想定以上の情報を得ることや、自分が知りたい情報を相手から聞き出すことができるようになります。ポイントは次の2つです。
・回答を制限しない
ビジネスの場では、正解が明確にない場合も多く、回答に柔軟性をもたせる質問をする必要があります。たとえば「何が正解か?」や、「どちらがいいですか?」だと、相手の回答を制限してしまい、限定された回答しか返ってきません。その場で出た話以外にも選択肢がある可能性を十分に認識し、深堀りしたい際は、「はい、いいえ」で回答できてしまうクローズドな質問ではなく、「どのように考えていますか?」などのオープンな質問をしていきましょう。
・聞きたい情報を明確にする
自分が何を聞きたいかを明確にする必要があります。具体的にはWho(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)の5W1Hを活用して、どの部分を深堀りしたいか整理して伝えると、相手も質問内容の理解が進むでしょう。また、相手の話を聞きながら、自分の中で5W1Hに落とし込みつつ、不足している部分を質問することも良いかもしれません。
3.ビジネスコミュニケーションが高まるメリット
ビジネスコミュニケーションを高めるために、そのスキルを磨くことで、仕事において様々なメリットが生まれます。具体的には、次のメリットが挙げられます。
(1)仕事の生産性が向上
会社においては、異なる役職、部署や取引先等、様々なメンバーで同じ物事に関わるビジネスシーンが多く発生します。その場において、正しく情報共有ができるようになれば、連携ミスや滞りが減り、業務が効率化します。また社外の取引先等についても、十分にコミュニケーションを取ることで、交渉や提案が円滑に進み、ビジネス上の成果向上も期待できます。
(2)離職率の低下
社員間のコミュニケーションが良化することで、社内の雰囲気が良くなることが想定されます。特に社員間の相互理解が進むことで、コミュニケーションが活性化するでしょう。自分の意見が出しにくい環境ではなく、積極的に発言でき、それを受け入れる会社の土壌ができれば、社員の自社に対するロイヤリティを向上させることが可能です。働きやすい環境になれば離職率を引き下げることができます。
(3)人材育成による企業成長が可能
ビジネスコミュニケーション力を高めることは、ビジネスマナーを向上させることにもつながります。また、相手の理解を促せる説明ができ、的確な質問を通して相手の意図をくみ取れる社員を育成することは、企業の人的資産の向上にもつながるでしょう。将来の企業成長の源泉となる人材育成は、ビジネスコミュニケーションを高めることで、実現に近づきます。
- 回答者
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中小企業診断士 川合 隆行