中小企業の海外展開入門
「株式会社スガイワールド」Success Case Introduction
2020年 4月 8日
「世界にもっと夢と想像力を!」海外へ販路を拡大する、成長の軌跡
2011年に創業した株式会社スガイワールドは、遊び心あふれるデザインギフトを企画、製造するメーカーだ。ひげのカタチをした愉快な付箋「ひげ付箋」ひとつから事業がスタート、オリジナル商品はすべて自社で企画開発し、日本の町工場の協力を得ながら出来る限り環境に配慮した素材で製造しているのが特徴だ。「世界にもっと夢と想像力を!」そんな願いをこめて商品開発に取り組む同社の人気商品が、世界15カ国以上で販売されるまでに成長した足跡を辿る。
INTERVIEW
海外販路開拓への取組みは、アメリカの展示会視察がきっかけ
眺めているだけでほっこりしてしまう、愛らしい動物やモンスターたち。5分間水に浸けるだけで好きな形に曲げて遊べる新感覚の紙クリップ「クリップファミリー」は、もともと紙専門加工会社からファイバー紙を使った商品開発の共同研究依頼があったことが誕生のきっかけだった。「ファイバー紙は木より硬いため加工が難しく、素材の厚みや幅が0.1mm変わると硬さや吸水率が変わります。何度も試作しテストする必要があり、最適な厚みと形の割出しに苦労しました」と、代表の須貝悠さんは当時を振り返る。2015年に発売すると、「クリップファミリー」は大ヒット商品となり、その頃から展示会、Webなどからの問い合わせを通じて海外からの引き合いも増えてきたそう。2016年にアメリカの展示会を視察したことをきっかけに、本格的に海外販路開拓の取り組みをスタートすることになった。
事前に取引先をリサーチして、商談がよりスムーズに運ぶよう工夫
実際に展示会へ出展する際は、素材が日本製であること、環境に配慮したものであること、日本の高い技術によって作られていること、デザインやその使い方に新規性があるという自社の強みをわかりやすく表現し、かつ、美しく洗練された印象を与えるよう工夫したという須貝代表。「特に商談が決まっていたバイヤーに対しては、先方のウェブサイトをよく確認して、送料や発送方法なども含めてすぐに提案できるよう準備しました。また、ブースでの立ち位置や態度などについても意識しました」。一つひとつの出会いを大切にするという姿勢が伝わってくる。「バイヤーからは、商品の新規性、エコフレンドリーな素材である点、商品パッケージが和英併記されている点、価格やミニマムのハードルがさほど高くない点などが評価されました」。
商談が成立した台北の小売店は、出展したクリップやカード以外にも8種類の商品を導入、さらに2018年12月にオープンした新店にはスガイワールドコーナーが展開されるそうだ。また、パリの小売店からは、会期中に少量発注したのちに売り上げが好調だったことからリピート注文を受けるなど、各社と良好な関係を継続している。
取引先を増やしつつ、長く続く関係を築いていきたい
今後の同社の展望について尋ねると、「少しずつ海外の取引先を増やし、一度きりにならず長く続く関係を築いていきたい。現在は特にアメリカ、アジアの取引先が増えているので、さらに今後はヨーロッパの取引先が増えるよう、パリの展示会への出展も検討しています」と、意気込む。今後も、世界中に笑顔をもたらしてくれる、同社のキャッチーでユニークな製品開発から目が離せない。
※掲載している内容は取材当時(平成30年度)のものです。
企業データ
- 企業名
- 株式会社スガイワールド
- Webサイト
- 代表者
- 代表取締役 須貝 悠 氏
- 所在地
- 東京都世田谷区用賀2-12-4-202
- 創業
- 2011年
- 事業内容
- 2011年に東京でスタートした、遊び心溢れる商品を企画、製造するメーカー。オリジナル商品はすべて自社で企画デザインし、日本の町工場の協力を得ながらできるだけ環境に配慮した素材で製造。スガイワールドの想像力豊かな商品は、日本全国をはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界15カ国以上のミュージアムショップ、書店、ギフトショップなどで扱われている。