ビジネスQ&A

会社の解散について手順を教えてください。

ここ数年業績が悪く、後継者もいないので、会社を解散しようと考えています。しかし、いざ解散しようとしても、その方法がわかりません。会社の解散とはどのような手順で行うのでしょうか。

回答

会社を解散するには、株主総会の特別決議か、株主全員による書面決議が必要です。解散決議後は清算手続きに移項し、清算の結了まで短くて2ヶ月半、長い場合は2年~3年を要します。

【会社が解散するには】

会社が解散するには、一般的には株主総会を開催する必要があります。解散決議は、定時株主総会はもちろん臨時株主総会でも行うことができます。

株主総会を開催するには、招集通知を全株主に対して発送することが求められます。ただし、株主全員が出席する場合には、招集通知は必要ありません。招集通知が必要な場合は株主総会の日時や場所、目的を記載します。

株主総会で決議しなければならない事項は、会社を解散させる旨と、清算人の選任に関してです。

会社を解散させる旨の決議では、特別決議が必要です。特別決議とは、株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数(3分1以上の割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)を有する株主が出席し、出席した株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる賛成をもってする決議のことです。

一方、清算人の選任に関する決議は、普通決議で足ります。普通決議は出席した株主の議決権の過半数の賛成をもってする決議です。清算人の人数は、原則は1人以上で、清算人会を設置する場合は3人以上が必要です。

【株主総会を開催しなくても解散決議は可能】

解散の決議を、株主総会を開催しないで行うこともできます。それは、議決権を行使できる株主全員が、書面または電磁的記録によって、提案された内容に同意の意思表示をした場合で、一般に書面決議と言われる方法です。取締役または株主が提案した事項について、議決権を行使することが可能な株主全員が、提案の内容と当該提案に同意する旨を記載した書面に署名をして成立します。

【解散決議後の流れ】

解散が決議されても、まだ会社は消滅しません。会社の解散とは、あくまでも会社の法人格を消滅させるために必要な法的手続きのことで、解散をした会社は、清算の目的の範囲内で存続しているため、清算手続きに移行する必要があるのです。

株主総会での特別決議または書面決議によって会社の解散が決議されると、清算事務が開始されます。以下に清算事務の流れを示します。

  1. 株主総会の解散決議・清算人の選任
  2. 現状の業務(現務)の終了・清算事務の開始
  3. 解散及び清算人の登記
  4. 解散日現在の財産目録と貸借対照表の作成と株主総会の承認
  5. 債権申出の公告及び知れたる債権者への通知
  6. 債権取立て・財産換価処分・債務弁済
  7. 清算事務年度の株主総会
  8. 残余財産の確定・分配
  9. 決算報告の作成と株主総会の承認
  10. 清算結了登記

清算結了までに要する期間は、解散前の会社の状況によって大きく異なります。取引先や保有していた固定資産が多かった会社は、債権の取り立てや換価処分に時間を要するため、2年から3年かかることも珍しくありません。逆に、目立った財産もなく、取引先もそれほど多くない会社では、最短の2カ月半で終了する場合もあります。

【休眠会社のみなし解散】

株式会社のうち、最後に登記が行われた日から起算して12年間なにも登記されない会社のことを休眠会社と言います。会社法は、休眠会社に対して「登記所に事業を廃止していない旨の届け出をすべき」との公告をしたにもかかわらず、休眠会社が2カ月以内に必要な届け出も登記もしなかった場合、その会社は解散したものとみなすとしています。これを、休眠会社のみなし解散といいます。

みなし解散の登記 みなし解散の登記
図1 みなし解散の登記
回答者

中小企業診断士 大石 幸紀