販路開拓・商品開発

地域ブランド保護に関する支援(地域団体商標支援)

2023年1月内容改訂

三重県松阪市の「松阪牛」、大分県大分市佐賀関地区の「関サバ」、愛媛県今治市の「今治タオル」———これらの名称を聞いたことがある人は多いと思います。これらには、地名と特産物名が合わさった名称が付けられ、地域団体商標として特許庁で登録されています。
「わが地域の特産品は、味は良いのに知名度がない」といった地域の課題を解決したい場合、地域団体商標を取得する方法があります。

地域団体商標制度について

地域団体商標制度は、地域の産品等を地域ブランドとして保護することで、事業者の信用度を維持し、地域経済の活性化や産業の発展を図ることを目的としています。

地域団体商標の出願を検討している団体・関係者は、特許庁審査業務部商標課地域ブランド推進室(電話:03-3581-1101(内線2828))へ連絡すると、特許庁の職員が派遣され、制度の活用や事例等について説明を受けることができます。その際、派遣にかかる旅費や謝金の負担は不要です。

地域団体商標を登録できる対象者

  • 特別の法律により設立された法人格を持つ組合(事業協同組合、農業協同組合等)
  • 商工会
  • 商工会議所
  • NPO法人
  • これらに相当する外国の法人

地域団体商標として登録できる要件

  1. 地域の名称+商品(サービス)の名称の組み合わせからなる文字であること
  2. 地域団体の構成員に使用させる商標であること
  3. 地域の名称と商品(サービス)の生産地・提供地とに関連性があること
  4. 商標が一定の地理的範囲の需要者間で、ある程度有名であること

地域団体商標を取得して得られるメリット

  • 商標権で保護されているため、他者から商標権を侵害された場合に攻撃・防衛できる
  • ライセンス契約による収入が得られる
  • 大企業から信用が得られ、取引において競合他社との差別化が図れる
  • 国が認めた商標を持っていることで、商品・サービスの訴求力が上がる
  • 知名度とブランド力の向上によって商品単価が上がり、売上アップが図れる
  • 地域団体の一体感が高まり、組織力が向上する

地域団体商標を取得するまでの流れ

地域団体商標の取得には、特許庁への出願から審査、査定、登録料の納付、権利の発生、更新という流れがあります。審査の段階で登録要件を満たさない場合は、出願者に拒絶理由通知が送付され、それに応答する必要があります。

<地域団体商標を取得するまでの流れ>
地域団体商標取得を取得するまでの流れ

地域団体商標の出願支援

地域団体商標について、出願を予定している者が受けられる支援策は6つあります。

その1 地域団体商標権を出願して地域のブランド戦略を考えてみたい方

INPIT 知財総合支援窓口では、経験豊富な企業OB等の窓口支援担当者が相談内容に応じて無料でアドバイスします。専門家からのアドバイスも無料で、訪問による支援も可能です。

その2 地域団体商標について知りたい方

地域ブランド推進室の講師を派遣し、地域団体商標制度やGI制度との違いについて説明します。全国に対応し、訪問は無料です。

その3 海外進出に際してリスク管理をしたい方

海外展開知財支援窓口では、企業における豊富な知識経験と海外駐在経験を有する海外知的財産プロデューサーを派遣します。海外進出・展開に応じた、商標をはじめとする知財面のリスク、権利化のアドバイス、活用方法等についてプロデュースします。全国に対応し、訪問は無料です。

その4 海外でも商標権を取得したい方

外国出願にかかる費用の半額を補助します。①外国特許庁への出願手数料、②それに要する国内代理人・現地代理人費用、③それに要する翻訳費が補助対象です。マドリッド協定議定書による出願も補助対象です(【上限額】1企業あたり:300万円 1案件あたり:商標60万円 冒認対策商標30万円)。

その5 海外企業に自社の商標を先取出願された方

冒認商標を取り消すためにかかる費用の3分の2を補助します。①異議申し立て、②無効審判請求、③取消審判請求に要する費用が補助対象です。(【上限額】500万円)

その6 海外で模倣品が出回って困っている方

模倣品対策にかかる費用の3分の2を補助します。①模倣品の製造元や流通経路等を把握するための侵害調査にかかる費用、②調査結果に基づく模倣品業者に対する警告文作成・行政摘発・取り締りにかかる費用、③調査結果に基づく税関登録・税関差止請求等・模倣品が販売されているウェブサイトの削除申請にかかる費用が補助対象です。(【上限額】400万円)

地域団体商標の活用支援

特許庁のウェブサイトでは、地域団体商標の登録案件や活用事例を紹介しています。
地域団体商標の活用事例は、動画、冊子、マンガでみることができます。

地域団体商標マーク

地域団体商標を登録した団体等は、特許庁に登録された「地域名物」であることを示す証として、「地域団体商標マーク」をご使用いただけます。

地域団体商標ガイドブックのウェブサイトには、「地域団体商標ガイドブック〜カタログ編〜」と「地域団体商標ガイドブック〜地域ブランド10の成功物語〜」のPDFデータを掲載しており、過去の冊子に掲載された活用事例のPDFデータもダウンロードできます。

紙媒体の冊子を希望されるなど、お問い合わせがある場合は次の窓口にご連絡ください。

特許庁 審査業務部商標課 地域ブランド推進室
電話:03-3581-1101 内線2828

中小企業等の皆様、まずはガイドブックを読んで、地域団体商標取得の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

まとめ

  1. 地域団体商標制度は、地域の産品等について地域ブランドの保護、事業者の信用度の維持により、地域経済の活性化や産業の発展を図ることを目的としている
  2. 地域団体商標を登録するには、登録できる対象者が「地域の名称+商品(サービス)の名称の組み合わせからなる文字であること」等の登録要件を満たし、審査で認められる必要がある
  3. 地域団体商標を出願・活用する際には、専門家によるアドバイス、活用事例の紹介等の支援を受けられる