BreakThrough 企業インタビュー
美しい街の景観と安全を生む装飾建材「アルデコ」【株式会社インターデコム】
2017年 11月 2日
summary
装飾材としてのデメリットを克服。
ネガティブなイメージを変えて実績を生む。
下請け発想から協働発想へ。事業に集中し、業績拡大。
素材から見直し、従来の装飾材デメリットを克服
建物全体のイメージを左右する装飾材。従来は石やコンクリートなどを基材にすることが多く、その重さから災害時の安全性や修復コストが高いという課題があった。また、施工に重機を必要とすることも多く、施工にかかる人的リソースや工数も多かった。この課題を解決したのが同社の装飾建材「アルデコ」だ。
「アルデコ」は今から20余年前、現代表の旧知の建築士が、当時の取引先から「大手ファミリーレストランがチェーン展開するので、コストを抑えた建材を探して欲しい」という相談を受けたのが誕生のきっかけだ。未知の建材を探すべく、オーストラリアに飛び立った建築士は、現地で「アルデコ」のヒントとなる建材と出会い、独自で開発を進めた結果、新たな装飾建材「アルデコ」を生み出すことができたという。
アルデコは断熱材にも使用されるEPS(発泡ポリスチレン)を基材にしている。EPSは容積中の97〜98%が空気なので、軽量で建物本体に負担をかけることはない。持ち運びも容易で、効率的な施工が可能だ。専用マシンの熱線で直接カットするため、従来の建材(FRP、GRC)と異なり金型が不要。
また加工が簡便なことから、フルオーダーメイドにも関わらず低コストが可能。表面をインターデコムのオリジナルコーティング材「ネフ」を塗布することで、耐久性が高く、長期にわたって品質を確保できる。こうした特徴から、高品質、簡易施工、低コストを実現。その為「アルデコ」の品質は、多くのクライアントに信頼され採用されている。
ネガティブなイメージを払拭
しかし、アルデコが市場に受け入れられるようになるには、多くの時間を要した。代表の松坂氏はこれまでの道のりをこう振り返る。「昔はEPSの理解が低く、イメージもあまり良くなかった。耐久性や強度の面で不安を感じるお客様が多かったのも事実です。発泡ポリスチレンと聞くと、“建築で使えるの?”とよく聞かれました。」しかし、アルデコは東日本大震災の時も壊れることはなかった。こうした現実を武器に草の根で拡販を続けた結果、今では約3000件以上の施工実績を残している。最近では、耐久性やコスト面が評価され、病院や公共施設、ブライダル施設など、あらゆるクライアントからの依頼があるという。
下請けから協働へ。事業に集中し、実績を生む
同社の業績が好調な理由は他にもある。実績が評価され、以前から提携を打診していた設計事務所との連携が上手くいき始めたのだ。「以前は建設会社に営業することはありましたが、今はほとんど営業をやっていません。スタッフも専任の営業数名のほかには、社内の技術部門がお客様対応をしています。アルデコファンの設計事務所から大きなプロジェクトの依頼があるので、業績も安定しています」同社のクリエイティブディレクター中里氏はこう語る。
競合の装飾材は、表面のコーティングは樹脂の吹き付けが多く、乾くと表面が剥がれ落ちたりすることがある。また石やコンクリートのような基材を使っている装飾材は、一度壊れると大規模な補修が必要になる。一方同社のアルデコは壊れても部分的な補修で済み、軽量なため落下事故のリスクもきわめて低い。手作業で施工できるので、作業工数もコストも圧倒的にカットできる。かつてはEPSのイメージが先行して苦戦を強いられていたが、今はアルデコを導入した企業の多くが、そのメリットと簡便さを実感しているはずだ。
装飾建材「アルデコ」の浸透によって景観だけではなく、震災などによる装飾材の落下事故の減少にもつながり、採用企業のブランディングにもつながっていくだろう。また、軽量かつ耐久性を兼ね備えた同製品による作業効率メリットは、修繕期間を短期化させ、それを求めるホテルや飲食店など集客を伴う店舗リニューアルなどで、さらなる需要が期待できる。
企業データ
- 企業名
- 株式会社インターデコム
建築用のEPS装飾材「アルデコ」の製造から販売までを行います。「アルデコ」は、紫外線等に強い外装使用に適した、軽量な装飾建材です。また、社内にデザイン部門や設計部を有している為、建物に合わせたサイズ・デザインができます。設計者やオーナー様の想いを形に、個性ある建物創りをお手伝いしています。