起業の先人に学ぶ(2020年版)
太陽光発電所システムの開発・販売から電力小売まで【株式会社Looop】
2020年 7月 13日
1.ビジネスの特徴
- ●誰に
-
世界中の人々に。
- ●何を
-
再生可能エネルギー発電所で作られた電力を。
- ●どのように
-
代理店、WEB、ECサイト、SNSなど、ありとあらゆるチャンネルを駆使して人々に知ってもらい、利用してもらう。
太陽光発電システムの販売、自社発電所の開発、電力小売事業などを手掛ける。太陽光、風力などの再生可能エネルギー発電所を敷設するところから、電気をコントロールして販売するところまで、一気通貫して手掛けられる点が強み。FIT制度(固定価格買取制度)を利用して売電を行うだけではなく、敷設から販売まで手掛けられるため、安心、安全、安価な電力の供給を可能としている。
2.起業のきっかけ
中国へ留学して以降、中国でビジネスに従事していた。特にレアメタルビジネスが上手くいったが、レアメタルビジネスは利ザヤで稼ぐシンプルなビジネスで、このままでいいのかと悩むようになり、自分のビジネスの才能を世の中の人々の役に立つことに使えないかと考え始めた。世界における日本の地位が落ちてきていると感じていたため、日本の役に立ちたいという思いが強かった。
その矢先、東日本大震災が発生した。復興の一助として、太陽光パネルの設置ボランティアを行う中で、太陽光発電は原子力発電・火力発電等より地球に優しく、気持ちの良いビジネスだと思ったこと、とても早いスピードで進化する発電技術に未来を感じたことがきっかけ。
3.起業への道のり
再生可能エネルギー事業に希望を見出したことで、3人の仲間と創業。(株)Looopとして法人を設立した。再生可能エネルギー事業を展開するにあたって、まずどうすれば人々が再生可能エネルギーを利用してくれるのかを考えた。これまでのビジネスで稼いだ資金を利用し、まず自分たちで太陽光発電所を作り、発電事業を開始した。この発電による収益で、さらに自分たちの太陽光発電所を作っていき、事業基盤を構築していった。
設立当初は自分の才能の範囲内でビジネスを賄えていたので、大きな苦労はなかったが、事業の規模が大きくなってからが大変だった。事業規模が拡大し従業員が増えてくると、自分一人の力では解決できないことがある。100人規模になった従業員の目指す方向性を統一することも難しく、大きい会社の舵を取ることの大変さを感じた。
4.最初のお客さんを獲得するまで
設立当初は一人でも多くのお客様に知ってもらうことが重要と考え、営業活動に注力し、展示会などに出展した。当時は再生可能エネルギーがブームであったこともあり反響は良かった。
ユーザーの役に立つ商品を提供することを念頭に置き、自分たちで発電所を作る中でも材料・工事など色々な課題があったことを踏まえ、自分で作れる発電所キットを商品化した。自分たち自身でも発電所を所有していたこともお客様の安心感に寄与し、販売を拡大していった。
現在拡大している電力小売の「Looopでんき」もそうだが、お客様に寄り添った営業と、商品力の高さを売りにしてきたため、顧客獲得という点で大きな苦労はなかった。逆に今後GAFAなど、資金力と顧客基盤を兼ね備えた大企業が市場に参入してくる可能性やその影響を懸念している。
5.今後の展開
当初より日本に貢献したいという理念があり、そのためには海外マーケットへの進出が必要と考えている。ヨーロッパ圏など、再生可能エネルギー事業の勢いがある海外企業と競い合える会社に成長したい。
現在は太陽光発電がメインであるが、これからはそのほかの再生可能エネルギーも拡大していく。電気を利用するユーザーが欲しいものを分析し、ただ電気を利用するに留まらず、生活の質を向上させるツールの開発にも注力していきたい。
※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。
企業データ
- 企業名
- 株式会社Looop
- 代表者
- 中村 創一郎氏
- 所在地
- 東京都台東区上野3-24-6
- Tel
- 03-4577-9001
- 事業内容
- 太陽光発電所システムの開発・販売・設置・工事・管理・メンテナンス・電力小売