起業の先人に学ぶ(2020年版)

退職サポート業務【EXIT株式会社】

2020年 7月 1日

岡崎 雄一郎氏
岡崎 雄一郎氏

1.ビジネスの特徴

●誰に

仕事を辞めたいけれど自分で辞められない人に。

●何を

退職に関する連絡の仲介を。

●どのように

電話やWEBサイト、SNSで依頼を受けて提供している。

退職したいが自分から退職の連絡をすることに困難を感じている人に対して、退職に関する連絡を代行するサービスを展開している。あくまで連絡の代行であり、必要な書類や会社備品の返却などモノのやりとりは依頼者と企業間で直接行ってもらう。

これまでも何でも屋さんのような業者が行っているケースがあったが、「親族になりすまして」といった怪しい類だった。労務関連の法律事務所でも付帯的に扱うことはあるが、専業として展開したのは当社が最初と認識している。

先行者でありwebでの自然検索順位が常に一位ということが一番の優位性である。数多くのメディアに取り上げてもらったことで退職代行の代表企業として認知されている。また沢山の代行実務で得た経験値やノウハウを活かした真面目で丁寧な対応が強みだと考えている。

2.起業のきっかけ

共同代表を務める新野氏のアイデアがきっかけ。新野氏は過去に3回会社を辞めているが、いずれも辞めることを言い出しにくかった経験から、連絡を代わりに行うサービスを思いついた。

退職に関する同様の経験をしていたり、「言いづらい」といった部分を性格的に感じ取れる人であったりしないと、なかなか発想することが出来なかったのではないかと考えている。実際、自分(岡崎氏)は退職に関して同様の悩みを持った経験がなかったため、連絡代行がビジネスになるのかと疑問視していたが、結果的に事業として成り立つだけのニーズがあった。

3.起業への道のり

新野氏がアイデアを思い付いたのが2017年4月。事業として始めるにあたっては、自分(岡崎氏)が主導となり進め、まずホームページを自身で作成した。完成後、検索サイト(Google)へ広告を出した。「仕事やめたい」「仕事やめられない」などの思いつくキーワードを登録し、検索からの集客を試みた。アイデアを思いついてから、ここまで2~3週間といった期間であった。

最初のホームページ作成は初めての経験で技術も無かったため苦戦した。当初は法人化しておらず岡崎氏の個人名義で立ち上げたが、連絡先企業に対する説明が大変であったため、2017年8月に比較的立ち上げが容易であった合同会社をまず設立した。その後SNSで当社の退職代行サービスが話題になり拡散されたことを契機に、2018年8月あらためて株式会社を設立した。

4.最初のお客さんを獲得するまで

検索サイト(Google)への広告出稿後、数日で最初の問い合わせが来た。初期は月数件ペースの依頼であったが、アクセス分析を重ね、実際に代行業務を重ねていくなかでの発見も取り入れながら、ホームページへの流入を増やす活動を行っていった。退職代行の実務は依頼者と対象の会社との細かな調整業務となるが、ホームページはあえてコミカルなデザインにし、とっつきやすいスローガンを掲げ、まずサービスの認知に努めた。

現在のように有名になるまでは、当然ながら退職代行というものが連絡先企業に認知されておらず、意味が分からないといったリアクションをされることが多々あった。こうした先に一から説明をし、実際に連絡代行を重ねていく中で、ノウハウを貯めていった。

依頼者の状況を聞くことで悩み相談のようになるケースもあるが、感情が入りすぎてしまうと逆に良くない場合もある。退職に関する悩みを持った経験のあった新野氏と、「とりあえずやってみる」の精神で取り組む自分(岡崎氏)の2人が共同代表として事業を進めていったことは、今考えるとバランスが取れていて良かったと思う。

5.今後の展開

退職代行を利用しようとする人自体の数は今後近いうちに大きく増えることはないと認識している。事業の性格上、リピーターの数は多くないため、これまでの実績を活かしながら、今後もお客さんに選ばれ、利用してもらえるよう努めていく。

現在も人材紹介業者と連携し次の職場をマッチングする事業を展開しているが、退職代行から発展させ、そうした悩んでいる人に寄り添い、サポートする事業分野について更に拡大していきたいと考えている。

※掲載している内容は、4月7日に発令された緊急事態宣言前に取材したものです。

企業データ

企業名
EXIT株式会社
Webサイト
代表者
岡崎 雄一郎氏、新野 俊幸氏
所在地
東京都渋谷区円山町5-4
Tel
0120-963-414
事業内容
退職サポート業務・メディア運営
Twitter
https://twitter.com/okazakithe