起業の先人に学ぶ
巻き寿司のニューウェーブ「すしポッパー」【Popper Foods LLC】
カリフォルニアロール、スパイシーツナロールなど、ルーツは日本でも生まれも育ちもアメリカ、という巻き寿司が増えている。こうなると、巻き寿司の食べ方もアメリカ流にカジュアルになっても不思議はない。まるでアイスキャンデーのような見た目の巻き寿司の登場だ。
Popper Foods LLC CEO エヴァン・カイ
すしを押し出すアイディアを考案した後、義理の兄であるルーカス・ファーストと共同でPopper Foods LLCを立ち上げる。薬品、テレコミュニケーション、インターネットテクノロジーなどの事業を行なうStrongtooth Inc.の創立者で、外科医の資格も持つ。
朝、冷凍庫から取り出せばお昼には食べ頃
——「すしポッパー」はどういう経緯で誕生しましたか。
私は寿司が好きでよく食べるんですが、寿司を食べるときは皿に盛り、座って箸で食べなければなりません。もっと手軽にいつでもどこでも食べられるようにしたいと思ったのがきっかけです。巻き寿司はもともと筒状なので、筒に入れたらどうだろうかと。
——「すしポッパー」の特徴をご説明ください。
紙またはプラスチックの筒の中に、ひと口サイズに切った巻き寿司(120グラム)を入れ、付属のストロー状のスティックで下からひとつずつ押し出して食べます。スティックには醤油が入っており、好みに応じて筒の上から垂らします。巻き寿司の種類は、今のところ、カリフォルニアロール、スパイシーシュリンプ、テリヤキチキン、カッパ巻きの4種類です。すべて調理済みの食材を使っており、生の魚は使用していません。
——日本人にも十分満足できる味ですね。
そこが最も苦心したところです。「すしポッパー」は冷凍された状態で配送され、冷蔵庫で約8時間、室温で2時間程度解凍して食べるので、常に作りたての味が楽しめます。冷凍庫で4カ月間保存もきき、朝、冷凍庫から取り出せば、ランチタイムにはちょうど食べ頃になるので、昼ご飯にも最適です。
——パッケージにはいろいろ工夫があるようですね。
当初はリップクリームのように、下の部分を回して中身を押し出すようなパッケージを考えましたが、これだとプラスチックをたくさん使うし、重くなるので、今のような原始的な方法に切り替えました。
航空会社、学校も関心を示す
——販路についてご説明ください。
「すしポッパー」は今年オンライン販売を開始したばかりです。6本入りパックで29.95ドル。冷凍した「すしポッパー」に72時間分のドライアイスを入れて、カリフォルニアの工場から発送。米国内は送料無料です。現在販路拡大に力を入れているところで、大手スーパーなどの小売店、アミューズメントパーク、ビーチ、自動販売機での販売などを考えています。
トレイも箸もいらないため機内食として便利なので、エアライン2社が現在「すしポッパー」の導入を検討中です。すしはヘルシーだし、「すしポッパー」は添加物を一切使用していないので、子供のランチにも適しており、カリフォルニアではすでに導入した学校があります。学校での販売は今後も増えていくと思います。
——これまでのところ反響はいかがですか。
アニメフェスティバル、コスプレイベント、ニューヨークのジャパンデー、その他のチャリティーイベントなどでPRや試食販売を行ないました。アニメフェスティバルでは3日の予定が2日で売り切れ。ジャパンデーでも長い行列ができました。当初は若者に受けるだろうと予想していましたが、ふたを開けてみたら、幅広い年齢層に好評を得ています。
——今後の課題についてお聞かせください。
販路の拡大はもちろんですが、「すしポッパー」にガリやワサビをつけることも検討中しています。また、すしの種類を増やし、餅アイスなどのデザートポッパーも開発中です。
企業データ
- 企業名
- Popper Foods LLC
- Webサイト
-
- 所在地
- 515 Madison Avenue,#705 New York,NY 10022
- Tel
- 1-212-481-1326
掲載日:2010年12月21日