起業の先人に学ぶ
ニューヨーカーのココロと体を癒すサロン【ココロサロン】
ここ数年、ニューヨークにスパやマッサージセラピーのサインが目につくようになった。高級スパからチャイナタウンの激安足ツボマッサージまで、レラクゼーションがニューヨーカーの習慣になりつつあるようだ。そんななか、日本人オーナーが経営するホリスティックサロン「ココロサロン」がオープンした。
ココロサロン(CocoroSalon) オーナー 小松多美子(こまつ・たみこ)
福島県出身。高校卒業後、美容専門学校、エステティックの学校、インテリアデザインの学校に通う。渡米後はHunter College, New York City University of New YorkでTheatre を、Swedish Instituteでマッサージセラピーを専攻。着付け免許、宅建取引主任者、2級建築士などの資格を持つ。ステージ照明デザインの傍らマッサージセラピストとして働く。2008年11月、ほかのふたりの共同経営者とココロサロンをオープン。
自分がやりたいことを実現するために起業
——ココロサロンをオープンさせようと思ったきっかけは何でしたか?
"タイミング"のひと言に尽きます。日本人女性のヘアスタイリスト、マレーシア出身のヘアスタイリスト&カラリスト、そしてマッサージセラピストでもある私の3人は、たまたまニューヨークで10年以上それぞれの仕事でキャリアを積んできており、顧客を持っていました。
ひとりはファッションショーやNYコレクション、雑誌、映画などの仕事に時間を割きたい、もうひとりは2人の子供たちともっと一緒の時間を作りたいと思っており、私は理学療法士の勉強をするために大学院に行きたいと思っていました。3人とも自分がやりたいことを実現するために、ビジネスを始めたいと思っていたんです。
そして、たまたま3人とも同じくらいの自己資金を持っていました。と言っても、起業するにはぎりぎりの予算でしたが。それぞれ得意分野が違い、顧客も持っている3人が同じタイミングでビジネスを始めたいと思っている。今、このタイミングで起業しなければ、もうビジネスはできないだろうと思ったのです。しかも、ちょうど廃業したスパが見つかり、2週間後には開店にこぎ着けました。
——店名をココロサロンとした理由は?
心は解剖学上はまったく存在しないものですが、だれもがあると信じている。いい技術を提供するのは基本ですが、それ以上にお客様とのコミュニケーションを大切にしたい。日本語で言う、心と心のおつきあいを目指しています。
常に新しいテクニックや情報を提供
——サービス内容は?
ヘアカット、スカルプトリートメント、カラー、ハイライト、パーマ、スウェディッシュマッサージ、指圧、ディープティッシュ、ニューロマスキュラー、アユルベーダなどです。
——この場所に店を構えた理由は何ですか?
マンハッタンのロアーイーストサイドは、まだ昔のニューヨークの雰囲気が残っています。二人のパートナーがすでにこのエリアにあるサロンで働いていたので、これまでのお客様にとっても便利だと考えました。この辺りにはヘアサロンやマッサージサロンがとても多いのですが、それぞれに提供するサービスが異なるので、うまく共存しています。
——どのようなマーケティングを行ないましたか?
3人ともすでに顧客を持っていたこともあり、特にマーケティングは行ないませんでした。お客様はクチコミで徐々に増えています。マッサージは経済的なゆとりがある専門職のお客様が多いですが、ヘアのお客様は学生の方から専門職の方まで幅広いです。
——このビジネスのおもしろさと苦労した点は?
仕事を通じての人とのつながりが魅力です。定期的に来てくださるお客様が結婚したり、子供を産んだりするといった、人生の節目に立ち会えたり、また、その変化を知らせに来てくださったり。自分を必要としてくれる人たちがたくさんいるというのは最大の喜びです。
苦労したのは時間の調整で、3人とも前以上に忙しくしており、ずっと休みが取れない状態が続いています。
——ほかのサロンとの差別化は?
当サロンのマッサージセラピストは常に新しいテクニックや情報を提供できるように、引き続き学校で勉強しています。スパではお客様はべルトコンベアに乗せられているようにサービスを受けて、会話をする間もありませんが、ココロサロンでは施術前後も施術中もお客様と会話しながら、納得していただけるサービスを心がけています。
企業データ
- 企業名
- Cocoro Salon
- Webサイト
- 代表者
- 小松多美子
- 所在地
- 122 Ludlow Street, New York
- Tel
- 212-228-8388
掲載日:2009年9月 1日