マンガでわかる「IT戦略ナビ」

最近、ニュースなどで、IT化、デジタル化、DX(デジタルトランスフォーメーション)等の言葉をよく聞くようになりました。
しかし、みなさんのなかには「IT化やデジタル化は大切だと思うが、どう進めればいいの」とか、「DXって、どうしたらビジネスに活用できるの」とか、悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

IT化・デジタル化の目的は、いま抱えている「経営課題」を解決することです。まずは「IT戦略」=「ITを活用して経営課題を解決するストーリー」を描き、そのストーリーにそって、IT化・デジタル化を進めることが大切になります。
そこで、今回のマンガでわかるシリーズでは、中小機構の「IT戦略ナビ」を活用した、IT化・デジタル化のストーリーを見える化する「IT戦略マップ」の作り方についてご紹介します。

たった5分で作成!IT戦略マップ

IT戦略マップとは、「ビジネスを成功させるためには、どのようにITを活用すれば良いのか」というストーリー(戦略)を、1枚のマップ(絵)にまとめたものです。
大変そうに思えますが、作り方はとてもカンタン。中小機構の「IT戦略ナビ」のページで、質問に当てはまる選択肢を選ぶだけです。5分程度で作成することができます。

(1) 業種を選ぶ

はじめに、卸売・小売、製造、建設、宿泊、飲食、医療・介護、運輸、教育・保育、不動産、生活関連サービス、その他サービスのなかから、業種をクリックします。

(2)経営課題を選ぶ

「売上拡大」、「利益率向上」、「生産性の向上」、「品質の向上」、「組織管理体制の強化」の5つから、解決したい経営課題を選びます。

(3)業務上の問題点を選ぶ

経営課題の解決にあたって問題となっているものを選びます。たとえば「売上拡大」が課題ならば、その原因は「営業・販促活動が足りない」のか、「新しいお客様が増えていない」のか、「既存顧客がリピートしない」のか、「経営で必要な数字が見えていない」のかを、選択肢の中から選んでいきます。

(4)取り組みたいことを選ぶ

業務上の問題点を解決するために、これから取り組んでいきたいことを選びます。たとえば「営業・販促活動が足りない」のならば、「電話応対を効率化したい」、「ネット販売や見積等、ネットを活用し、新規市場を開拓したい」などの選択肢があります。

(5) ITソリューション提案

「顧客対応・販売支援」、「決済・債権債務・資金回収管理」、「会計・財務・資産・経営管理」、「人材配置」、「総務・人事・給与・労務・ITインフラ」、「調達・供給在庫・物流」、「自動化・分析プロセス」、「汎用プロセス」、「業種固有」の9つのカテゴリーのなかから、経営課題に合致したITソリューションが提案されます。

たとえば、「顧客情報、過去の商談履歴、購入履歴等を誰でもすぐに参照できるようにしたい」ならば、「顧客管理システム・CRM」の概要と、その導入効果が表示されます。

「関連するアプリを見る」をクリックすると、中小機構の「ここからアプリ」に登録されているアプリのなかから、関連するアプリが表示されます。

IT戦略マップと導入プランの作成例

業種・経営課題・問題点などについて、IT戦略ナビの質問に答えていくと、IT戦略マップと導入プランが自動的に作成されます。

● IT戦略マップの例
IT戦略マップは、IT化のためのストーリーを「見える化」したもので、以下の4つの視点に分かれています。

1. 戦略の視点
(目標)


これは、IT戦略マップのタイトルです。IT化・デジタル化の目標、目的と言い換えても良いと思います。目的によって複数のマップを作成しても良いかもしれません。
2. 経営の視点
(経営課題)


解決したい経営課題(売上拡大・利益率向上・生産性の向上・品質の向上・組織管理体制の強化)が記載されます。
3. 業務の視点
(問題点・取り組み)


経営の視点で挙げた経営課題を解決するための業務上の問題点と取り組みが記載されます。
4. IT活用の視点
(対応策)


業務レベルの課題を解決するための取り組みに活用できる、ITツールが提案されます。

●導入プランの例
IT戦略マップの完成後、「導入プランを作成」をクリックすると、ITソリューションを導入するにあたっての計画案を作成することができます。
完成した導入プランは、PDFのほかExcel形式・PowerPoint形式でもダウンロードできるので、自社の状況にあわせて修正しながら活用することができます。

IT戦略マップの活用方法

IT戦略マップは、「どこからIT化・デジタル化をすすめたら良いかが分からない事業者」がIT化のストーリー(戦略)を考えるうえで役立ちます。作成したIT戦略マップは、こんな形で活用すると効果的です。

● IT戦略マップを社内で共有して、理解を深める

IT化・デジタル化は、業務フロー・業務のすすめ方の変更をともないます。効率的で良いことだと思っていても、社員等からの抵抗が大きいため、導入に消極的になり、なかなかIT化が進まないケースがよく見られます。
IT戦略マップは、経営課題や期待される効果を一枚の絵で「見える化」したものであり、一目でITの目的と効果が分かります。できあがったIT戦略マップは社内に提示するなどして、社内の理解を深めるツールとして活用してください。社内のコンセンサスを作ることが、IT化の第一歩になります。

● 支援機関・専門家とのコミュニケーション資料として活用する

支援機関や専門家のIT化支援を受けるにあたって、IT戦略マップ・導入プランを資料として活用することができます。
また、支援機関・専門家と一緒になって、IT戦略マップを作成したり、導入プランのブラッシュアップをしてもらったりすることで、より的確なIT戦略の立案につながります。

●「業務の視点」を業務改善に活用する

IT戦略マップのなかでも、注目したいのは「業務の視点」です。たとえば「売上拡大」という経営課題の解決のために、営業・販促活動の強化、新規顧客の開拓、取引価格の適正化など、業務上の問題点と取り組みが記載されています。
IT戦略マップでは、そのためのITツールが提案されますが、業務改善の方法はIT化だけではありません。経営課題と業務の問題点を見つけ、ITを含めた幅広い業務改善の取り組みについて検討するためのツールとしても、IT戦略マップを活用することができます。