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経営後継者研修の在校生と卒業生が合同研修会:中小企業大学校東京校

2023年 2月 20日

第30回在校生・卒業生合同研修会のようす

中小機構が運営する中小企業大学校東京校(東京都大和市)は2月17日、第43期後継者研修の「第30回在校生・卒業生合同研修会」を東京都千代田区のTKP新橋カンファレンスセンターで開催した。研修会には在校生20人に対し、卒業生80人が参加。現役生と卒業生がグループディスカッション形式で企業経営をテーマに議論をしながら、相互の交流を深めた。

経営後継者研修は、中小企業経営者の子女をはじめとした後継者に必要な知識や能力を実践的に授ける経営者育成プログラム。40年以上の長い歴史の中で900人近い卒業生を輩出している。「在校生・卒業生合同研修会」では、全国各地で経営者や経営幹部として活躍する卒業生たちとの交流を通じて、在校生に研修修了後の経営活動の参考となる考え方を身に着けてもらうことを目的に行われている。また、卒業生たちにとっても、世代や業種が異なる卒業生たちとの交流を通じ、自社の経営の悩みや課題解決のヒントをつかむ機会にもなっている。

新型コロナウイルス感染防止の観点から集合形式での合同研修会が開催されるのは3年ぶり。コーディネーターとして登場したBMネットワーク代表の高橋茂人氏は、「合同研修会に参加しているOBは現実の経営にぶつかっている。ノウハウの塊だ。研修のカリキュラムには載っていない話もある。先輩から話を聞いて、お互いを知り合い、縁を作ってほしい」と在校生に呼びかけた。

グループディスカッションでは、在校生と卒業生が11のグループに分かれ、「人材」「グローバル化」「事業承継」「生産性向上」といった経営に関するテーマを取り上げ、議論を繰り広げた。「事業承継」をテーマにしたグループでは、在校生が卒業生に円滑な事業承継をするためのポイントを尋ねた。卒業生は、「事業承継する会社の株価を把握しておかないと、相続税で苦労をする」「相続争いにならないよう親族とのコミュニケーションをしっかりとる必要がある」など事前の準備の大切さをアドバイス。リアルな経験をもとにした卒業生たちの話に在校生たちは真剣な表情で耳を傾けていた。

基調講演する日本事業承継アントレプレナーズ代表取締役の田中伸明氏

グループディスカッションに先立ち行われた基調講演では、日本事業承継アントレプレナーズ代表取締役の田中伸明氏が登壇した。同社は、後継者不在の企業を買い取って意欲あるスターアップ人材に承継させるリノベーションスタートアップ事業を展開している。

田中氏は、M&Aによる事業承継の具体的な事例などを紹介したうえで、「きょう集まっている後継者の方々は、高い原資を持った会社を引き継がれている。それは日本の人口の中のわずかな人たち。それは『選ばれし者』で、選ばれし者たる責任がある。その原資をもって、のんびり過ごしていたら日本は衰退してしまう。引き継いだ人たちは、この原資を持って会社を成長させ、日本を発展させる使命を持っている。ぜひ、それを自覚してほしい」と呼びかけた。