RoHS指令の基礎

EuP指令をめぐる最近の動き(1)

2009年5月29日

EuP指令をめぐる最近の動きについて2回にわたり紹介します。

欧州議会は4月24日、現行のEuP指令(2005/32/EC)の対象範囲について、エネルギー関連製品にまで広げるErP指令(Eco-design requirements for energy related products)に拡大することをEU議会とEU理事会側と合意し、指令の見直しに向けた報告を採択しました(注1)。

このように、京都議定書における強制力のある第1約束期間も1年が経過し、白熱電球の段階的廃止やエコラベル指令の改定(EU Ecolabel("EU flower"))などEUでも省エネ対策の取組みが法規制で強化されてきています(注2)。

EuP指令による製品ごとの実施規則は、白熱電球以外でも外部電源(ACアダプター Lot7 注3)、シンプルセットトップボクス(SSTB地上デジタル受信機器などLot18 注4)のエコデザイン要求が出され、さらに多くの電子・電気機器が適用される水平規則となる待機電力、オフモード電力(Lot6 注5)のエコデザイン要求が具体化されてきています。

ACアダプターなどが対象のLot7は、無負荷状態と外部電源供給の平均アクティブ効率による消費電力に関連するエコデザイン要求です。

Lot6のエコデザイン要求は、2010年1月からオフモードおよび/または待機モードが利用可能であることが要求されています。電力消費量は、「オフモード」は1.00Wを超えてはならず、「待機モード」は情報または状態表示のみを提供する、または再開機能と情報、もしくは状態表示の組合せのみを提供する状態にある機器は2.00Wを超えてはならないとされています。2013年1月からはさらに50%削減です。

Lot7のエコデザイン要求事項は、例えばAC-DC変換の場合ですと以下のようになります。

2010年4月27日以降は、外部電源の無負荷状態の電力消費量は、定格電力が51W以下の場合は0.30W、51W以上の場合は0.50Wです。2011年4月27日から無負荷状態の電力消費量は0.50Wを超えてはならないことになります。

平均アクティブ効率は以下です。

0.500 *Po

Po<1.0W

0.090 *ln(Po)+ 0.500

1.0W≦Po<51.0W ln:自然対数

0.850

Po>51.0W

なお、今回の実施規則では、予備調査などは行われていますが、電圧コンバータ、無停電電源、バッテリー・チャージャなどが除かれています。

Lot18のエコデザイン要求では、2010年2月25日以降はSSTBにはスタンバイモードの設定、自動電源オフ機能または類似機能を備えなければならなくなります。テレビの電源を入れて放置していると3時間で自動的にオフモードにする要求です。スタンバイモードの電力消費量は1.00W、アクティブモードの電力消費量は5Wですが、スタンバイ状態の表示機能がある場合は、さらに1.00Wの割り当てがあります。2012年2月25日以降は、スタンバイモードの電力消費量が0.50Wに削減され、新たに搭載したハードディスクの電力消費量の割り当てがされるなど厳しくなっています。

実施規制が出され、EuP指令も総論から各論になってきています。実施規則では解釈が難解なものがあり、質問が多くあります。次回はLot6の論点やFAQを紹介します。

(松浦徹也)

(注1)

(注2)

(注3)

(注4)

(注5)

当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。 法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家に判断によるなど最終的な判断は読者の責任で行ってください。
情報提供:一般法人 東京都中小企業診断士協会