原価高上昇分を利用料と物販に反映:Y’S Agri合同会社(観光農園、農業経営コンサルティング)

価値再構築 販路拡大企業独自 

POINT

・【悩み】化学肥料、燃料費、資材等原材料費の高騰により、原価が15%以上の上昇
・【対応】顧客満足度を見極めながら、入園料と園内販売商品の価格改定
・【成果】客単価20%増による採算性の改善

会社概要

・イチゴ狩り観光農園及び観光農園、農業経営に関するコンサルティング事業を手がける。会社設立登記は2020年7月、2021年2月16日よりイチゴ狩り営業を開始。

悩み

・イチゴ観光農園の事業開始後、円安傾向の高まりを受け、化学肥料や育苗費用など原材料費の高騰に見舞われた。
・イチゴハウスは建設費、統合環境制御機器等の初期コストが重く、返済原資を確保するために固定費割合を下げる必要に迫られていた。
・集客力を確保するための大手ポータルサイトへの支払いがかさみ、手残り収入の確保が難しくなってきたため、園内でのイチゴ関連商品等の物販により客単価を高める必要があった。
・イチゴ観光農園の事業特性として、年間のうち営業可能な時期が6か月弱と短期間であることに加え、繁忙期でも来園者の満足度を考慮し、時間当たりの来場者数に一定の制限を設ける必要があることから、入園料を高める工夫が必要である。

対応

・入場料金は、時期や時間帯などの需要変動に対応したダイナミックプライシング施策を実施し、平均入園料の引き上げを図った。
・ポータルサイトへの支払手数料の低減策として、需要変動に連動させた自社の予約サイトを併用した。実需要期は自社サイトへの誘導を優先し、閑散期では既存の大手ポータルサイトを活用した。
・通常、イチゴは2~3品種のみが一般的だが、この4倍以上の多品種を栽培する強みを活かして、園内物販品の商品ライン拡充とアンカリング効果を考慮した幅広い価格帯を設定した。
・イチゴ狩りを終えたお客様には、園内でのカフェスペースで菓子の無料提供や削りイチゴなどを提供することで滞在時間の延伸につなげ、物販点数の買上げ増を図った。

成果

・事業開始後、間もない時期のため、集客面に不安を抱えていたが、値上げ後も高い集客力を維持することが出来ている。入園料の引き上げに際しては、競合との比較や顧客との対話結果を反映するなど慎重な検討を行ったため、集客数へ悪影響はなく、売上の増加が図れた。
・再来店率は高く、特に同一シーズン内においても複数回来店される方のリピート比率が28%以上を確保しており、高いエンゲージメント率となっている。
・今後は、需要変動に対応したダイナミックプライシングの精緻化を進める。また、新設中の圃場(ほじょう)においては、顧客のプライバシーを重要視した一棟貸しサービスの充実を図るなど、“最高の思い出づくり”をモットーとしたサービスを深化させ、他者との差別化を押し進める方針。

企業データ

企業名
Y’S Agri合同会社
Webサイト
設立
2000年7月
資本金
200万円
従業員数
2名
代表者
芳澤和哉
所在地
千葉県千葉市若葉区御殿町699-12
事業内容
イチゴ観光農園、農業経営コンサルティング

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