原料高騰を加工賃と稼働率向上へ反映:株式会社 澤村商店(封筒製造販売)

原価分析 価格交渉販路拡大コスト削減企業独自 

POINT

・【悩み】原材料費、人件費の高騰、受注減による採算性悪化
・【対応】発注先への加工賃値上げ交渉とECサイトでの直販事業進出、時間管理によるコストダウンへの取り組み
・【成果】売上増加とコストダウンにより黒字転換

会社概要

・昭和42年の創業以来、封筒製品を専門に扱う製造業者。国内の業務用封筒は量産品と、顧客ごとに仕様の異なる個別注文品に大別され、当社は個別注文品のみを取扱い、一貫製造を可能とするすべての装置を保有している。
・主な事業は、各種封筒製造販売・紙製品製造販売、 ECサイト(東京封筒)によるオリジナル封筒製造販売・紙製品卸売り事業。

悩み

・主な原材料の紙に加え、口糊(くちのり)、セロファン等も15%以上値上がりするなど、原材料費が急激に高騰したことで、採算性が悪化した。
・製造原価の多くを占める人件費は、定期昇給による上昇に加え、人手不足を回避するための賞与支給が不可欠な状況であり、これが更なる収益圧迫につながっていた。
・上記のコスト上昇に見舞われた一方で、受注量は年々減少傾向にあり工場稼働率は低下していた。生産体制の維持は品質保全上必要だったが、これが固定費比率を押し上げていた。

対応

・はじめに取引先の執行役員に値上げを打診し、取引先が原価費上昇等の情勢を理解していることを確認した。
・値上げには根拠となるデータが必要と考え、材料費等の直接費だけでなく決算書及び損益分岐点分析等の資料を開示した。また、十分な理解を得るために交渉には2か月程度の時間をかけ、丁寧に説明することを心がけた。
・原価高騰に対し、社内においても時間管理・多能工化による作業時間の短縮化やECサイト(東京封筒)開設等、経営努力を図っていることをあわせて説明した。
・交渉にあたり、製品の品質や短納期・小ロット生産対応など、取引先の競争力に直結する生産体制を維持することが困難であることを強調した。

成果

・取引先と数回にわたる交渉を辛抱強く行った結果、加工賃5%強の値上げを実現した。また、取引先企業からは資料の信頼性の評価と共に、ECサイト“東京封筒”には全面的な協力する旨の意向が伝えられた。
・社内では時間管理等の効率化策を推進した結果、対売上人件費比率は3%以上の削減を図ることができた。
・「価格転嫁」と併せ、「効率化の取組み」、販路拡大「ECサイト開設」が奏功し、黒字転換を果たすこととなった。
・取引先企業とは、これまでもオンラインでの受発注・生産進捗情報の共有、工場立地の近接など、緊密な物流・情報流の体制構築に協力し、信頼関係を深めてきたことが、交渉が円滑に進んだ要因だと考えている。

企業データ

企業名
株式会社 澤村商店
Webサイト
設立
1974年(昭和49年)
資本金
1000万円
従業員数
21名
代表者
澤村幸夫
所在地
東京都台東区今戸2丁目27番4号
事業内容
種封筒製造販売・紙製品製造販売 ECサイト(於:東京封筒)、オリジナル封筒製造販売・紙製品卸売り

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