市場調査データ
牛丼店(2026年版)
2026年 1月 9日
長年、庶民の食として愛されている牛丼。近年の市場規模は約5,000億円と推定され、今後も拡大が予想されている(※)。大手チェーン3社の業界シェアが8割以上と大きいものの、ブランド牛を使用した個人店なども見られる。底堅い牛丼の人気を支えているのは、どのような利用者層なのか。また、利用者はどのような理由で、多くの外食の中から牛丼を選ぶのか。20代以上の男女1,000人を対象にアンケート調査を行った。
(※)出典:2030年 外食市場将来予測と業態ビジネス変化|富士経済
1. 現在の利用状況
牛丼店の利用状況で最も多かった回答は、「半年に数回程度利用している」の328人(32.8%)だった。以降、「過去には利用していたが、今は利用していない」の262人(26.2%)、「月に1回程度利用している」の175人(17.5%)、「月に2〜3回程度利用している」の106人(10.6%)と続く。利用者層は、「週に4〜5回以上利用している」から「半年に数回程度利用している」までを合算した660人(66.0%)となり、現在は3人に2人程度と多くの人が牛丼店を利用していることが分かる。
2. 性別・年齢別に見た利用状況の内訳
牛丼店の利用状況を性別・年齢別に示したのが〈図b〉である。まず、男女間で明確に見られる違いは、実質的な利用層といえる「月に1回程度以上」利用する割合が、全年代において男性の方が高かったことである。また、「一度も利用したことがない」層においては、20代女性と60代女性の割合が他よりも高い。その一方で、30代〜50代女性においては、「過去に一度でも利用したことがある」人は約9割となっている。
最も利用頻度が高いのは20代男性で、「週に1回以上利用している」人は10%強に及び、「月に1回程度以上の利用」となると半数を超える。男性の場合、30代になると利用頻度が少し落ちるが、40代以降になると「月に1回以上」の利用率は高くなる傾向がある。
3. 利用の基準(現在の利用者および過去の利用経験者)
冒頭の設問で「牛丼店を利用している」、または「利用したことがある」と回答した922人を対象に、牛丼店を選ぶ際に重視するポイントを聞いた。最多得票となったのが「価格の安さ・お得感」の380人(41.2%)で、「料理のおいしさ、味の好み」の235人(25.5%)、「自宅・職場・学校からの近さ」の175人(19.0%)が続いた。まさに、牛丼のイメージとなっている「早い・うまい・安い」を重視する人たちが牛丼店のメイン顧客となっている。
4. 性別・年齢別に見た利用の基準の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)
牛丼店を選ぶ際のポイントを、性別・年齢別に示したのが〈図d〉である。男女間での顕著な違いはそこまで見られないが、最も特徴的なデータは30代男性だろう。女性や他の年代の男性よりも、「料理のおいしさ、味の好み」の割合が低く、代わりに「価格の安さ・お得感」を重視する傾向があり、手頃に食事を済ませたいというニーズが見える。
もうひとつ特徴的な層は、20代の女性だ。こちらは、男性や他の年代の女性とは違い、「価格の安さ・お得感」が低く、「店舗の入りやすさ、清潔感」と「ポイントやクーポンなどの特典」を重視する傾向がある。また、全ての年代で「自宅・職場・学校からの近さ」も店選びの基準になっていることが分かる。
5. 利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)
牛丼店を訪れた際に、1回で利用する金額を聞いた。最も多かった回答は「500円以上1,000円未満」の614人(66.6%)で、全体の3分の2程度を占める。「500円未満」の171人(18.5%)を合わせると785人(85.1%)で、ほとんどの客層が1,000円未満で食事を済ませていることが分かる。一方で、「2,000円以上3,000円未満」の19人(2.1%)と「3,000円以上」の4人(0.4%)は、一般的な牛丼チェーンではなく、ブランド牛を用いた店舗など、高級志向の店舗を利用している可能性が考えられる。
6. 性別・年齢別に見た利用にかける費用の内訳(現在の利用者および過去の利用経験者)
牛丼店1回の利用にかける金額を性別・年齢別に見たのが〈図f〉である。まず、男女間での違いは、30代を除き、1,000円以上の利用は女性の方がやや多い結果となった。その一方で、30代や50代・60代以上の女性は500円未満の利用者も多く、同様に60代以上の男性も500円未満が多い。一般的な牛丼チェーンにおいて、一杯の牛丼の並盛と大盛の価格の境目となるのがだいたい500円であることを考慮すると、一食に必要な量が男女間や年代間で異なることなどがその理由と考えられる。
年代間の傾向では、男女とも20代の利用金額が高い。大盛りやトッピング、サイドメニューなどを注文する、あるいはSNSで話題となった高額なメニューを注文するといった利用が推測される。
7. 利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)
牛丼店を利用する理由を聞いたところ、最多回答となったのは「短時間で食事が済ませられるから」の274人(29.7%)だった。これは就業者や就学者が、昼休みなどを効率的に過ごすために利用していると推測できる。同様の理由は、3番目に多かった「テイクアウトやデリバリーが便利だから」の157人(17.0%)にも該当するだろう。2番目の理由となった「価格が安いから」の219人(23.8%)には、外食を可能な限り節約したいというニーズが一定以上あることを示している。
8. 性別・年齢別に見た利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)
牛丼店を利用する理由を性別・年齢別に見ると、牛丼の印象となっている「早い・うまい・安い」が、全年齢層から求められていることが分かる。特に「短時間で食事が済ませられるから」という理由は、全ての性別と年代で主要な回答となっており、特に男性においてその傾向は強い。
また、女性の場合は、20代を除いて「テイクアウトやデリバリーが便利だから」という回答も2~3割を占める。その背景には、一人で牛丼店に入ることに心理的抵抗がある、落ち着いた環境で食事を取りたいといった動機がありそうだ。この回答は男性ではどの年代でも1割以下となっている。
9. 今後の利用意向
アンケートの全対象者1,000人に今後の利用意向をたずねたところ、「どちらかと言えば利用したい」が373人(37.3%)で、続く「ぜひ利用したい」は360人(36.0%)となり、利用意向がある人は733人(73.3%)とおよそ4分の3を占めた。「あまり利用したくない」の56人(5.6%)と「全く利用したくない」の51人(5.1%)を合算した107人(10.7%)は否定的だが、全体の1割しかおらず、かなり少数派の意見という印象を受ける。
10. 性別・年齢別の今後の利用意向
今後の利用意向を性別・年齢別のグラフで示した。「ぜひ利用したい」は男性の方が圧倒的に多く、高いニーズがあることが分かる。ただし「どちらかと言えば利用したい」も含めると、20~40代の女性も高く推移しており、男女間でそれほど大きな差は見られない。時と場合によっては利用したいという層が、女性には多く存在しているようだ。
また、20代・30代の若年層で利用意向が高いのは男女ともに変わらないが、年齢が高くなると男女差が見られる。年齢が上がるにつれて、女性の場合は利用意向が低下しているが、男性はそれほど低下していない。女性は若年層、男性は全年齢層が主要な顧客層になりそうだ。
11. まとめ(ビジネス領域としての牛丼店)
当サイトで2011年に行なった「牛丼店」の利用状況に関するアンケート調査では、全体の79%が、300円から600円の費用で牛丼店を利用していた。しかし、近年の人件費や材料費の高騰などを受けて、今回の調査では500円から1,000円がボリュームゾーンとなった。だが、物価高騰の影響は他の飲食店でも同様のため、牛丼店だけが大きく不利な状況というわけではない。依然として、牛丼店が手頃な価格で食事を楽しめる有力な選択肢であることは、「7.利用する理由(現在の利用者および過去の利用経験者)」の設問において、「早い・うまい・安い」を重視する回答が多かったことからも見て取れる。
ビジネスとして牛丼店を捉えた場合、大手チェーンと差別化するにはいくつかの方法が考えられる。「5.利用にかける費用(現在の利用者および過去の利用経験者)」の結果から、牛丼に特別なおいしさを求めて、一度の食事で2,000円以上を利用する層が少数ながら存在することは、ひとつのヒントになりそうだ。ブランド牛を使い、盛り付けで美しさを訴求するなど、高付加価値戦略とSNS戦略を一体化させた個人店もすでに登場している。一般的に肉を敬遠すると言われる高齢者に向けて、上質さをアピールするのも良いだろう。「早い・安い」では大手チェーンに優位性があると言わざるを得ないが、「うまい」に焦点をあてるとビジネスの切り口が見えてくるかもしれない。
(本シリーズのレポートは作成時時点における情報を基にした一般的な内容になっています。個別の施策等を検討される際には、別途、専門家に相談されることをお勧めします)
調査概要
- 調査期間:
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2025年7月5日~9月21日
- 調査対象:
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国内在住の20代男女、30代男女、40代男女、50代男女、60代以上男女。
サンプル数(n)1,000人
- 調査方法:
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インターネットによるアンケート調査
最終内容確認日2025年12月