~中小企業経営者は、今の景気をどのように感じているのか~

第134回中小企業景況調査【平成25年10~12月期】

足元改善も、消費増税を不安視する声が高まる

平成25年10-12月期の中小企業景況調査では、全産業の業況判断が大幅に改善。外需の好調や円安の影響を受け、中小企業の景況に回復感が広がっていることが確認できた。一方、内需型の企業からは、原材料価格の上昇や消費増税を不安視する声が多く挙がっている。

1.製造業などは大幅改善。小売・サービス業は?

今期の各種景況調査の多くでは、企業の業況マインドの改善が末端まで浸透し、景気の拡大局面を迎えているような調査結果が伺える。しかし、本調査のサンプルの大半を占める小規模企業の今期の業況DI(前期比・季調値)を見ると、全産業では▲16.9ポイント、製造業では▲10.2ポイント、建設業では0.1ポイントである一方で、卸売業では▲14.5ポイント、小売業では▲27.7ポイント、サービス業では▲19.9ポイントとなっており、小売業、サービス業の停滞がうかがえる。

中小企業の業況判断DIの推移

2.小規模企業経営者の実際の声は?

今期の本調査において、内需型に当たる小売業、サービス業に従事する小規模企業経営者から得られたコメントでは、消費増税による駆け込み需要を歓迎するムードはほとんどなく、近い将来に待ちうける消費の冷え込みを懸念する内容が多い。

【コメント】

  • 消費税増税を機に、値上げをしようと考えているが、お客さんがどう思っているか。値上げしてもいいとは言ってくれているが、本当のところはわからない。(美容業 広島)
  • 消費税増税による駆け込み需要で売上が上がった。これは一時的なものなので、消費後の対策を早い段階で考えていかなければならない。(自動車一般整備業 鹿児島)
  • 景気の上昇が感じられない中での消費税率の上昇には不安。駆け込み需要もさほど期待出来ない。(各種食品小売業 長野)

3.見通し:消費増税の影響懸念。内需型企業の動向に注目。

円安による原材料価格の上昇と増税という環境の変化にどのように対応するのか。特に規模が小さい内需型の企業では、4月以降の経営状態に対する杞憂ばかりが先行し、経営者のマインドを冷やしている状況である。近年稀に見るに改善を示す中小企業景況であるが、その詳細は、必ずしもトレンド通りに楽観視できるような状況ではないのかもしれない。

文責

ナレッジアソシエイト 平田博紀

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