ビジネスQ&A
建設業を開業するにあたっての許認可要件について教えてください。
新しく事業を開始するにあたり、業種によってはさまざまな許認可が必要だと聞きました。私は前職の経験を活かして、建設業を開業しようと考えております。建設業の開業において必要な許認可や要件を教えてください。
回答
建設業を開業するにはさまざまな要件を満たす必要があります。建設業を開業するにあたっては、財政的要件から管理者の設置など多くの要件が存在しますので、該当するかどうかを確認してみてください。
建設業を開業するには、さまざまな要件を満たさなければなりません。そのうえで、国土交通大臣または都道府県知事の許認可(以下、建設業許可とします)を取得することが可能となります。
では、具体的に見ていきましょう。建設工事を請け負う建設業者は、建設業許可を受けることを義務づけられています。これは元請負人のみではなく、下請負人・法人・個人の区別なく義務付けられています。軽微な建設工事であれば、建設業許可を受ける必要がない場合もあります。
【建設業許可を取得する必要があるかどうかのチェックポイント】
軽微な建設工事であれば、建設業許可を受ける必要がない場合もあります。要件は、以下のとおりとなっています。
- 建築一式工事以外で、1件の請負代金が500万円未満の工事であれば、建設業許可は不要となります。
- 建築工事一式で、1件の請負代金が1,500万円未満の工事であり、かつ木造住宅で、延べ面積が150平方メートル未満の工事(主要構造部が木造で延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの)であれば建設業許可は必要ありません。
【建設業許可の業種】
建設業の許可は業種ごとに28種類に分類されており、それぞれに国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要です。
1.知事許可と大臣許可
建設業許可は国土交通大臣か都道府県知事によって行われます。どちらの許可を取るかは営業所の所在地で決まります。
- 知事許可:1つの都道府県の区域内に営業所を設ける場合
- 大臣許可:2つ以上の都道府県の区域内に営業所を設ける場合
2.特定許可と一般許可
建設業許可は、一般建設業と特定建設業の2つに分かれています。
- 一般建設業:請け負った工事を下請けに出さない場合や、1件の工事代金が3,000万円(建築一式工事の場合は4,500万円)未満の場合に必要。
- 特定建設業:発注者から直接請け負った1件の工事について、下請け代金の額が3,000万円(建築一式工事は4,500万円)以上となる建設工事を施工する場合に必要。
また、個人事業主や本支店の役員である経営業務管理責任者の経験年数と専任技術者の実務経験、もっている国家資格などにより、業種ごとに許可要件が異なっていますので注意してください。下記が28業種となっています。
(1)土木工事業、(2)建築工事業、(3)大工工事業、(4)左官工事業、(5)とび・土工工事業、(6)石工事業、(7)屋根工事業、(8)電気工事業、(9)管工事業、(10)タイル・れんが・ブロック工事業、(11)鋼構造物工事業、(12)鉄筋工事業、(13)舗装工事業、(14)しゅんせつ工事業、(15)板金工事業、(16)ガラス工事業、(17)塗装工事業、(18)防水工事業、(19)内装仕上工事業、(20)機械器具設置工事業、(21)熱絶縁工事業、(22)電気通信工事業、(23)造園工事業、(24)さく井工事業、(25)建具工事業、(26)水道施設工事業、(27)消防施設工事事業、(28)清掃施設工事業
【建設業許可の要件】
では、具体的に建設業許可を受けるための要件を見ていきましょう。
1.経営業務管理責任者がいますか
個人事業主か法人役員であり、次の要件のいずれかを満たす必要があります。
- 許可を受けようとする業種の建設業で5年以上の経営業務経験がある
- 許可を受けようとする業種以外の建設業で7年以上の経営業務経験がある。
- 許可を受けようとする業種で、経営業務の管理責任者に準ずる地位にあって経営業務の補佐経験が7年以上ある。
なお、常勤であること、経験期間の証明を前の会社や同業者に証明してもらうか確定申告書の控えや契約書、見積書の控えなどを提示しなければなりません。
2.専任技術者がすべての営業所にいますか
次のいずれかの要件を満たし、かつ常勤している必要があります。
- 国家資格などを有している者
- 高等学校の所定学科を卒業した後5年以上、大学(高等専門学校含む)の所定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者
- 10年以上の実務経験を有する者(学歴・資格を問わない)
3.誠実性を有していますか
建設業の営業に関し、不正または不誠実な行為を行うおそれのないことが必要です。
4.財政的基盤がありますか
一般建設業の場合は、下記のいずれかの要件を満たしていなければなりません。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること。預金残高証明書、直前決算時の自己資本額などで証明します。
- 直前5年間許可を受けて継続して営業した実績があること。
特定建設業の場合は、下記のすべての要件を満たしていなければなりません
- 欠損の額が、自己資本の20%を超えないこと
- 流動比率が、75%以上であること
- 資本金が2,000万円以上あること
- 自己資本が4,000万円以上あること
元請工事1件で、下請業者への発注金額の合計が3,000万円以上(建築一式は4,500万円以上)となる場合は特定建設業許可が必要です。なお、下請工事しか受注しない場合は、一般許可となります。
5.欠格要件などに該当していませんか
事業運営上、公共の福祉を害したり、他人に迷惑をかけたりする恐れがあると判断される場合は、欠格要件に該当し、他の要件を満たしていても建設業許可は取得できません。
このように、建設業の許可についてはさまざまな要件がありますので、あなたが建設業許可の要件に該当しているかを確認して、許認可の取得を行ってください。
- 回答者
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中小企業診断士 渋谷 雄大