2026年1月内容改訂

近年、経営改善計画書作成の重要度が高まっています。国は、中小企業や小規模事業者のために、経営改善計画書を外部の専門家と一緒に作成する場合の支援策を用意しています。

経営改善計画書の必要性

借入金の返済が苦しくなった場合には、金融機関に返済条件の緩和を願い出て負担を軽減することになるでしょう。しかし、それはあくまでも臨時的な対応であり、経営改善に向けた何らかの対応策を講じない限り、状況は好転しません。最悪の場合、融資自体を受けることが困難になり、資金繰りに支障をきたすこともあります。

このような事態に備えて、「業況改善の可能性とその実現施策」について、目に見える形で対外的に説明することが重要です。そのための資料として、近年、経営改善計画書の必要性が高まっています。

また、現段階で借入金の返済条件の緩和の必要はないものの、資金繰りが不安定であったり、売上が減少傾向であったりと、将来に向けた経営改善の取り組みが必要な場合もあり得ます。そのような場合にも、事前に経営改善計画書を作成しておくことが有効な手段となります。

経営改善計画策定支援事業の種類

経営改善計画策定支援事業には、次の2つがあります。それぞれの概要やお勧めの利用者は下表のとおりです。

  • 早期経営改善計画策定支援事業(通称:バリューアップ支援事業)
  • 経営改善計画策定支援事業(通称:405事業) 通常枠/中小版GL(ガイドライン)枠
「経営改善計画」と「早期経営改善計画」の概要、対象者

また、それぞれの計画書作成のポイントは以下のとおりです。

「経営改善計画」と「早期経営改善計画」の内容

経営改善計画策定支援事業の支援内容

国が認める士業等専門家(認定経営革新等支援機関)の支援を受けて、早期経営改善計画または経営改善計画を策定する場合、専門家に支払う費用について、原則として2/3相当額を国が負担します。さらに、経営改善計画策定支援において、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」に基づく計画策定支援を実施する場合は、補助金額が最大700万円となる支援拡充枠(中小版GL枠)が設けられています。

<早期経営改善計画支援事業>

上限25万円

  • 計画策定支援費用:上限15万円
  • 伴走支援費用(期中):上限5万円(任意)
  • 伴走支援費用(期末):上限5万円
<経営改善計画支援事業 通常枠>

上限300万円

  • 計画策定支援費用:上限200万円
  • 伴走支援費用:上限100万円
<経営改善計画支援事業 中小版GL枠>

上限700万円

  • DD(※)費用:上限300万円
  • 計画策定支援費用:上限300万円
  • 伴走支援費用:上限100万円

(※)デューデリジェンスの略。企業の財務状況や事業性、収益力等を多面的に調査すること。

なお、「伴走支援」とは策定した経営改善計画を効果的に活用するため、専門家が計画達成状況を確認し、必要に応じて助言を行う支援のことをいいます。また、計画策定やその伴走支援と合わせて弁護士等による経営者保証解除の支援を行う場合、金融機関交渉費用を補助対象経費に加算することができます(早期経営改善計画策定支援、経営改善計画策定支援のいずれも上限10万円)。

経営改善計画策定支援事業のフロー

それぞれの支援事業のフローは下図のとおりです。図中に登場する「認定経営革新等支援機関」とは、中小企業の経営相談等に関して専門的知識や実務経験が一定レベルにある者として国の認定を受けた、公的に登録されている支援機関のことをいいます。具体的には、商工会や商工会議所など、国の認定を受けた中小企業支援機関、金融機関、中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士等です。

また、中小企業活性化協議会とは、産業競争力強化法に基づき、47都道府県に設置されている公的機関です。相談企業と金融機関との間に立ち、公正中立の立場から、各種金融調整、再生計画の策定支援、経営者等の保証債務整理支援等を行います。

早期経営改善計画策定支援事業のフロー
経営改善計画策定支援事業のフロー

経営改善計画策定支援事業は、計画書の作成が必要ですが、それ以外の要件は少なく、比較的活用しやすい制度です。早めの活用が、金融機関との関係改善や経営の立て直しにつながりますので、ぜひ活用を検討してみてください。

まとめ

  1. 中小企業や小規模事業者が、経営改善計画書を外部の専門家と一緒に作成する際に受けられる国の支援策がある
  2. 借入返済が厳しい場合に、金融機関へ「業況改善の可能性とその実現施策」を示す際、将来に向けた経営改善の取り組みを説明する資料として、経営改善計画書の作成が推奨される
  3. 経営改善計画策定支援事業には、「早期経営改善計画」と「経営改善計画」の2つの支援事業がある
  4. 「早期経営改善計画」は、資金繰り管理や採算管理などの基本的な経営改善の取り組みを必要とする中小企業・小規模事業者が対象
  5. 「経営改善計画」は、金融支援を伴う本格的な経営改善の取り組みが必要な中小企業・小規模事業者が対象
  6. 経営改善計画策定等について、専門家(認定支援機関)に対して支払う費用の2/3を国が負担
  7. 支援費用の上限は、「早期経営改善計画」は25万円、「経営改善計画」の通常枠は300万円、中小版GL枠は700万円