省エネQ&A
エネルギーキャリアとは?
回答
「エネルギーキャリア」とは、気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体や水素化合物にして効率的に貯蔵・運搬する方法です。2050年に向けてCO2排出の80%削減を図っていくためには、海外から再エネを大量に導入する必要があり、この大量輸送、貯蔵手段としてエネルギーキャリアが重要となります。
「エネルギーキャリア」とは、気体のままでは貯蔵や長距離の輸送の効率が低い水素を、液体や水素化合物にして効率的に貯蔵・運搬する方法です。
平成28年5月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」では、(1)2030年度に2013年度比で26%削減するとの中期目標について、各主体が取り組むべき対策や国の施策を明らかにし、削減目標達成への道筋を付けるとともに、(2)長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すことを位置付けています。
実現に向けては、低炭素化を進めていくことが必須であり、水素エネルギーの役割に対する期待が高まってきています。
しかし、水素の製造、輸送・貯蔵はコストがかかり、現状の水素製造コストはガソリンの数倍となっているなど技術的、コスト的なハードルは高く、国が主導して産官学が連携してオールジャパンで研究開発から実証を進めていくことが求められました。こうした中、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の11テーマの中の1テーマとして「エネルギーキャリア(新しいエネルギー社会の実現に向けて)」が組み込まれました。
このエネルギーキャリアでは、CO2フリー水素バリューチェーンの構築を目指し、CO2フリー水素の製造から3つのキャリア(液化水素、有機ハイドライド、アンモニア)による輸送、貯蔵そして水素の利用までの主要な技術開発を推進します。
なお、3つのキャリア(液化水素、有機ハイドライド、アンモニア)の種類と特徴は下表のとおりです。
液化アンモニアの体積当たりの水素密度は、3つのエネルギーキャリアの中で最も大きく、常圧下で-33℃、または、常温で8.5気圧といったマイルドな条件で液化します。このアンモニアの液化条件は、LPGの液化条件とほぼ同じであり、NH3はLPGと同様のインフラ、技術で輸送、貯蔵することが可能です。このような特徴のためか、10のSIPエネルギーキャリア・テーマ中、4つのテーマで研究開発が2014年度から2018年度までの5年計画で進められています。
- 回答者
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技術士(衛生工学) 加治 均