省エネQ&A
「工場等」の判断基準に基づく個別管理標準作成上の留意点─(3)廃熱の回収利用
回答
「工場等」の判断基準の「(3)廃熱の回収利用」を取り上げ、「該当する設備」、「管理内容と補足説明」と「個別管理標準を作成する上での留意点」について解説しています。
「工場等」の判断基準に基づく個別管理標準作成上の留意点に関わり、4回目として、「工場等」の判断基準の「(3)廃熱の回収利用」を取り上げます。
I. 「工場等」の判断基準の「(3)廃熱の回収利用」に該当する設備
関東経済産業局のHP上で例示されている設備は、下記のとおりです。
蒸気ボイラー、空気調和機設備(エアハン等)、空調用吸収式冷凍機、ヒートポンプ式エアコン(GHP)、給湯設備、自家発電設備、コージェネレーション、蒸気駆動のコンプレッサー等、電気式を除く加熱/乾燥設備、蒸気式加熱成形設備、蒸気式表面処理・洗浄・脱脂・中和等設備
II. 「工場等」の判断基準での管理内容と補足説明
「工場等」の判断基準の「(3)廃熱の回収利用」の1.管理として規定されている項目は、アからオの5項目で、下記のとおりです。
ア.
排ガスの廃熱の回収利用は、排ガスを排出する設備等に応じ、廃ガスの温度又は廃熱回収率について管理標準を設定して行うこと。
イ.
上記アの管理標準は、別表第2(A)に掲げる廃ガス温度及び廃熱回収率の値(本Q&Aの末尾に掲載しています)を基準として廃ガス温度を低下させ廃熱回収率を高めるように設定すること。
ウ.
蒸気ドレンの廃熱の回収利用は、廃熱の回収を行う蒸気ドレンの温度、量及び性状の範囲について管理標準を設定して行うこと。
エ.
加熱された固体若しくは流体が有する顕熱、潜熱、圧力、可燃性成分等の回収利用は、回収を行う範囲について管理標準を設定して行うこと。
オ.
排ガス等の廃熱は、原材料の予熱等その温度、設備の使用条件等に応じた適確な利用に努めること。
III. 個別管理標準を作成する上での留意点
- 廃熱回収設備が無い場合でも、(3)1. ア、イの設定は必要です。
- (3)1. アでは、廃熱温度等をもとに費用対効果が無いこと等を確認することで、廃熱回収をしないことも可能です。この場合は、検討資料を記録、保管することが必要です。また、内燃機関についても、本項での規定が必要です。なお、廃熱回収率は、[廃熱回収率=(排ガス温度℃-回収後排ガス温度℃)÷(排ガス温度℃-20℃)×100]で評価します。
- (3)1. イでは、別表第2(A)に掲げる廃ガス温度及び廃熱回収率の値を遵守する必要があります。また、内燃機関については、本項での規定は必要ありません。
- (3)1. ウでは、蒸気ドレンの回収をしないことも可能です。この場合は、検討資料を記録、保管することが必要です。
- (3)1. エでは、ボイラーのブロー水、コージェネレーションのエンジン冷却水などからの熱回収についても規定することが必要です。ただし、空調の換気のような温度レベルの低い排気についての規定は不要です。つまり、加熱されたものからの廃熱回収利用については現実的な可能性から規定の必要性を判断し、その条件を文書化することが必要です。
- 回答者
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技術士(衛生工学) 加治 均