省エネQ&A
コジェネの改善に役立つR曲線解析とは?
回答
R-曲線(R-Curve)解析はエネルギーシステムの省エネの余地を把握するための解析手法で、横軸にR値(熱電比)、縦軸に統合エネルギー効率をとります。現状を分析したうえで、今後どのような対策が可能かといった検討が可能となります。
R-曲線(R-Curve)解析は、エネルギーシステムの省エネの余地を把握するための解析手法で、図-1 のように横軸にR 値、縦軸に統合エネルギー効率をとります(出典:NEDO成果報告書「平成23年度~25年度 国際エネルギー消費効率化等技術・システム実施事業 基礎事業 タイ工業団地のピンチテクノロジー等の工場間エネルギー利用解析による省エネ診断事業」、及び、NEDO実用化ドキュメント「複数工場間で熱を共有し、コンビナート全体での省エネを実現」)
縦軸の総合エネルギー効率は、工場全体エネルギーシステムを操業するために投入した全燃料量(Qfuel1+Qfuel2)に対する工場全体での熱と電力使用量(Qheat+W)の割合です(図-2)。Qfuel2は購入電力量と買電分の効率(受電端効率)から求まります。
横軸の熱電比(R)は、工場全体での熱需要に対する電力・動力需要の比率(R=W/Qheat)であり、R値が大きいと電力需要の比率が大きいことを示し、R値が小さいと蒸気(熱)需要の比率が大きいことを示しています。
総合エネルギー効率は工場全体としての効率を示しており、例えば、全て高効率モーターで操業していても、使用電力が全て買電ならば、買電分の受電端効率が36.9%(我が国の場合)と低いので、全体エネルギーシステムの効率は低く評価されます。
R-曲線(R-Curve)解析では、工場の使用電力(購入電力と自家発電)とコージェネレーションによる熱供給(蒸気)から、現状におけるR 値を算出します(図-1 破線)。さらに、発電に使用する燃料量等から統合エネルギー効率を算出し、ボイラーとタービンを導入した場合(図-1 赤線)、さらにガスタービン複合システムを導入した場合(図-1 青線)などの理想のエネルギー効率を割り出し、それに対して現状のエネルギー効率がどの程度であるかを算出します。
たとえば理想のエネルギー効率に対して現状の統合エネルギー効率が低すぎるというのであれば、熱利用を増やすことで熱電比を下げ(図-1で左方向に移動し)統合エネルギー効率を高めるか、もしくは、新たにガスタービン複合システムを導入することで(図-1で上方向に移動し)統合エネルギー効率を上げるなど、現状を分析したうえで、今後どのような対策が可能かといった検討が可能となります。
- 回答者
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技術士(衛生工学) 加治 均