省エネQ&A
COP21で採択されたパリ協定について教えてください。
回答
2020年以降の地球温暖化対策の法的枠組み(パリ協定)が採択されました。世界共通の長期目標として2℃以内に抑えるため、「各国がそれぞれの実情に応じた削減目標を定め国際的に誓い、その目標の妥当性や達成度合いを他国(国連)が評価・検証すること」などが盛り込まれています。
2015年11月30日からパリで開催された気候変動枠組条約第21回締結国会議(COP21)は、2020年以降の地球温暖化対策の法的枠組み(パリ協定)を採択し、12月13日に終了しました。
本会議にて、昨夏の猛暑や豪雨により気候変動が身近な問題として認識され、この異常気象の原因が地球温暖化にもあることを納得されたと思います。この点で、パリ協定の採択は大きな成果と言えます。
- 世界共通の長期目標として2℃目標のみならず1.5℃への言及
- 主要排出国を含むすべての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること、共通かつ柔軟な方法でその実施状況を報告し、レビューを受けること
- JCMを含む市場メカニズムの活用が位置づけられたこと
- 森林等の吸収源の保全・強化の重要性、途上国の森林減少・劣化からの排出を抑制する仕組み
- 適応の長期目標の設定及び各国の適応計画プロセスと行動の実施
- 先進国が引き続き資金を提供することと並んで途上国も自主的に資金を提供すること
- イノベーションの重要性が位置づけられたこと
- 5年ごとに世界全体の状況を把握する仕組み
- 協定の発効要件に国数及び排出量を用いるとしたこと
- 「仙台防災枠組」への言及(COP決定)
が含まれています。(出展:国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21) 京都議定書第11回締約国会議(COP11)等 (概要と評価)、日本政府代表団)
ここで、
- 2℃以内に抑えるには、2050年に世界のCO2排出量を2009年比で約半分(15Gt/年)とする必要があります。また、各国の約束草案を足し合わせても2℃の目標達成は出来ず、追加の対策が必要なことも分かっています。
- 国別排出削減目標を法的義務の対象とせず、各国がそれぞれの実情に応じた削減目標を定め国際的に誓い、その目標の妥当性や達成度合いを他国(国連)が評価・検証する「プレッジ・アンド・レビュー」方式を採用しています。この点が、COP3での京都議定書が国別排出削減目標を法的義務化したことと大きく異なります。
我が国の約束草案(2030年までに2013年比で26%削減)は「エネルギーミックスとは?」でご説明したエネルギーミックスをベースとしており、先ずはエネルギーミックスの実現が必要不可欠です。エネルギーミックスでは、「徹底した省エネルギーにより5,030万KL程度の省エネルギーを実現する」(下表:出典は「長期エネルギー需給見通し 骨子(案)関連資料」 資源エネルギー庁)ことが実現に向けた柱の一つとして謳われています。これだけの省エネルギーを一部門だけで達成することはできず、家庭部門を含めた全部門での対応が必要です。
- 回答者
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技術士(衛生工学) 加治 均