省エネQ&A

エアコンの霜取り運転と省エネについて教えてください。

回答

外気温が0℃以下のようなときに電動エアコンを暖房運転すると、空気中の水分が室外機の熱交換器表面に結露して凍り、「霜」となります。霜が付いたままでは室内は温まらず、消費電力も多くなります。回答欄で提案した方法を実施することで、霜取り運転の頻度が少なくなり省エネに繋がります。

外気温が0℃以下のような低いときに電動エアコンを暖房運転すると、空気中の水分が室外機の熱交換器(蒸発器)表面に結露して凍り、「霜」となります。熱交換器に霜が付いたままでは室内は温まりませんし、消費電力も多くなります。そのため、室外機の熱交換器に付いた霜を溶かす霜取り運転(「デフロスト運転」とも言います)の機能が電動エアコンには具備されています。

霜取り運転は電動エアコンが自動で行いますが、その頻度は外気温が低く湿度の高い時ほど多く発生します。また、多くの電動エアコン(注記)では、霜取り運転中は室内側での温風の吹き出しは停止します。

(注記):暖房運転を継続しながら、霜取り運転が行える電動エアコンも販売されています。

霜取り運転の頻度を少なくすることは省エネに繋がりますので、以下、方法をご紹介します。

  • 温度設定を過度に高くしない
    室内温度を28℃など過度に高くせず、外気温との差を小さくすることで、室外機の熱交換器にも余裕が生じ、却って早く温まります。
  • 室外機は高い場所に設置
    雪が多く積もりやすい場所では、積もった雪に室外機が埋もれないように高い場所に設置することをお勧めします(下写真:出典はダイキン工業(株)社のホームページ)。また、室外機に防雪フードを取り付けることで雪が入り込むのを防ぐ方法も効果的です。
  • 室内機フィルターの定期的な清掃
    以前、本Q&Aでご説明の通り、(ヒートポンプ)エアコンには室内側と室外側に熱交換器(蒸発器と凝縮器)があり、室内外で空気と熱交換を行うことで冷暖房を実現しています。室内機のフィルターを定期的に清掃することで、空気量が確保され十分な熱交換が可能となり、消費電力も減ります。
  • 室外機の周りを空けておく
    上述の通り、室外機にも熱交換器があります。暖房運転では、室外機の熱交換器は蒸発器として機能し、屋外の空気を吸い込み、冷たい空気を吹き出しています。吹き出し口が塞がっていると、室外機から吹き出された冷たい空気を、室外機が直接吸い込む恐れが高くなり、消費電力も増えるばかりか暖房運転が停止することも起こりえます。
寒冷地における室外機の高い場所への設置例 寒冷地における室外機の高い場所への設置例

なお、(ヒートポンプ)エアコンには電動エアコン(EHP)以外に、エンジンで駆動するエアコン(GHP)もあります。GHPではガスエンジンの排熱を利用することで、霜取り運転は不要ですし、外気温に左右されずに安定した温風が得られます。

回答者

技術士(衛生工学) 加治 均