省エネQ&A
改正省エネ法での「電気の需要の平準化に資する措置」って何?(その1)
回答
事業者が取り組むべき「電気の需要の平準化に資する措置」として、コージェネレーション設備、蓄熱式空調設備、ガスヒートポンプ空調設備、吸収式冷温水機、モノジェネレーション設備、蓄電池が「電気需要平準化を勘案した判断基準等の見直しについて(案)」で取り上げられています。
「資源エネルギー庁主催の改正省エネ法説明会に参加しました。」でご説明の通り、事業者が取り組むべき「電気の需要の平準化に資する措置」として、以下の項目が具体的に示されています。
そして、具体的な設備・機器として、コージェネレーション設備、蓄熱式空調設備、ガスヒートポンプ空調設備、吸収式冷温水機、モノジェネレーション設備、蓄電池が「電気需要平準化を勘案した判断基準等の見直しについて(案)」で取り上げられています。
以下、この資料で取り上げられた設備・機器をその原理を含め3回に分けて紹介します。
1. コージェネレーション設備
コージェネレーションシステム(設備)とは、熱源から電力と熱を生産し供給するシステムの総称で、「コージェネ」あるいは「熱電併給」と呼ばれています。コージェネは内燃機関(ガスエンジン)を用いる方法、蒸気ボイラーおよび蒸気タービンを用いる方法、そしてガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた方法に大別されます。下図は内燃機関を用いた民生用コージェネの基本構成を示したものです(出典:一般財団法人コージェネレーション・エネルギー高度利用センター)。発生電力は商用系統と連系し供給され、廃熱は廃熱利用吸収冷凍機によって冷水に変換され、あるいは熱交換器を介して暖房や給湯に用いられます。
「電気需要平準化を勘案した判断基準等の見直しについて(案)」では、コージェネ設備を下表のとおり評価しています。
コージェネ設備では、コージェネによって供給される熱電比(必要な熱量を電力量で割った値)が、実際の熱電比と大きく異なる場合、コージェネを導入してもエネルギーを有効に利用することができません。熱電比はホテルや病院で大きい値となり、オフィスビルやデパートでは小さい値となります。したがって、コージェネ設備が省エネに寄与するには、熱の利用先があることと、熱需要の時間帯と電力需要の時間帯が一致していることが必要になります。このような条件を満たす業種として、ホテル、病院、銭湯、食品製造業、クリーニング業が考えられます。
2. 蓄熱式空調設備
蓄熱式空調システム(設備)とは、下図に示すように夜間の割安な電気を利用して「氷」または「冷水」などを蓄熱槽に蓄え、この蓄えた冷熱を昼間の冷房に使う空調システムのことで、工場、ビル、事務所、店鋪、学校などで使われています(出典:沖縄電力株式会社)。
「電気需要平準化を勘案した判断基準等の見直しについて(案)」では、蓄熱式空調システムを「エネルギーの使用の合理化となる」と積極的に評価しています。パッケージエアコンと氷蓄熱槽をユニット化することで、80m2(平方メートル)程度以上の小規模店舗・事務所などでも適用可能な蓄熱式空調設備が市販されています。
次回は、ガスヒートポンプ空調設備と吸収式冷温水機について、原理を含めて紹介する予定です。
- 回答者
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技術士(衛生工学) 加治 均