省エネQ&A
節電対策はどのようにすればよいでしょうか。
当社は従業員50名で医療機器の組立・試験を行っています。電力事情が逼迫するような事態を想定して、事前に節電対策が必要と考えていますが、工場の操業にできるだけ影響を与えないようにしたいと思います。それには、どのような節電対策をすればよいか教えてください。
回答
節電対策は、組織体制を整備し、現状把握のうえ、節電の目標を設定、管理するようにします。個々の節電対策はそれぞれ目的と条件が異なっています。効果的な節電を行うために、それぞれの目的と条件に対応した対策を組み合わせるようにします。
東日本大震災、およびその後の福島原子力発電所の事故などから、日本全体で電力の需給が逼迫しています。もはやどのような企業においても、節電対策は必須となっています。
以下に、一般的な節電対策の考え方と取組みについてお答えします。
【節電対策の基本的な考え方】
- これを機会に、全面的に電力の活用を見直し、効率化を進めるようにする。
- 操業はできるだけ確保し、顧客には影響を与えないようにする。
【節電対策の進め方】
先ずは、節電のための組織体制を整備します。貴社の場合は、あまり大きな組織ではないため、専任の担当者を決定するのは難しいと思います。それでも全体責任者(一般的には社長)、管理推進者(兼任で可)などは決めておきましょう。
次に、以下のステップで、現状把握のうえ、節電の目標を設定、管理するようにします。
- 現状の電力消費状況の把握をする。
- 節電目標を設定する。
- 電力消費状況の見える化、できればリアルタイムで電力消費状況が分かるようにする。そして、電力消費の状況によって、必要な措置を講じるようにする。
【具体的な節電対策】
具体的な節電対策はいろいろと示されています。むやみに飛びつく前に、整理をして検討しましょう。節電対策はおよそ以下の3つのレベルに分類できます。それぞれの目的と条件を確認し、最適な組み合わせとします。
○レベル1
一般的な節電対策で、すぐに検討できるレベルです。現状の事業活動に大きな影響のない対策です。具体的には、
- 照明→LED電球化、間引き照明等
- エアコン→設定温度の調節、エアカーテンの設置、一部でのエアコン停止等
- パソコン等→ディスプレイ輝度調整、スリープモードの効果的活用等
などです。
○レベル2
全体の操業を維持しながら、ピーク電力を平準化する対策です。勤務条件が変わるため、従業員、労働組合と事前に話し合う必要があります。具体的には、
- 一日の勤務時間帯の見直し→サマータイム制の導入、昼休み時間の拡大等
- シフト勤務の導入→職場ごとに勤務時間帯、休日を変える等
- 年間の休日の見直し→春秋の土曜日出勤を増やし、夏冬の休日を増加等
などです。
○レベル3
電力供給体制、あるいは生産体制の見直しで、投資が必要となる対策です。貴社の場合は、事業規模から、ここまでの対策が必要となるとは思えませんが、一応、選択肢としてあげておきます。具体的には、
- 自家発電・蓄電設備の導入
- 電力事情がよい他地域への一部、生産移管
などです。
- 回答者
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中小企業診断士 芳賀 知