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「第43期経営後継者研修」終講式を開催:中小企業大学校東京校

2023年 7月 18日

終講式
ゼミナール論文発表会は熱の入った発表が相次いだ

中小機構が運営する中小企業大学校東京校(東京都東大和市)は、13、14の両日、「第43期経営後継者研修」のゼミナール論文発表会と終講式を行った。経営後継者候補21人が10か月間の研修の集大成となる論文を披露した。その後、橋本孝校長から終了証書を授与された。

天龍交通株式会社の渡辺剛史氏は、タクシー業界の業界分析と自社のあるべき方向について発表した。「タクシー業はシンプルで、当たり前のことを当たり前に行うための仕組みづくりが必要。そのために、人材獲得、営業手法、内勤強化の3つの軸をとらえて取り組んでいく」と述べた。渡辺氏は研修に取り組んだ10か月について「リーダーシップについて学びたいと考え参加した。人間味あふれるさまざまな方と出会うことができ、いろんな形のリーダーシップ像があることを知れたのは貴重な機会だった」と振り返った。

桜井製作所 桜井貴史氏

桜井製作所の桜井貴史氏は、自社の金属プレス加工業について、「下請け型だと、社員の士気が低下しがち。顧客の要望を先読みしてこちらから提案する提案型企業へと転換させたい。そのためにも調査分析力、研究開発力、営業力を磨いていく必要がある」と自社の進むべき方向を提示した。桜井氏は「社会人としての経験も浅いので、大学校でいろいろな知識を体得できたことは大きい。これから会社で一から実務に携わることになるが、ここで得たことで引き出しをたくさんもつことができた」と、自信を深めたようだ。

発表会には、研修生を送り出した派遣元企業の代表者やゼミナール講師も参加。研修生の発表に聞き入った。ある派遣元企業の社長は後継者候補として送り出した自分の息子が、研修期間に大きく成長したことに目を細めつつも「現実の会社では勉強で学んだ以上に大変なことが待っている」とあえて厳しい言葉を贈った。講師も研修生一人ひとりに、具体的にどこが成長したのかを伝えた。

終講式では橋本孝校長が「発表した内容を会社に戻ってすぐに実現できる方もあれば、時間がかかる方もいるだろう。アクションをし続けていただきたい。21人の研修生、ゼミ講師、交流会で出会ったOBなど、ご縁を大切にしてほしい」と激励した。

経営後継者研修は全国9か所にある中小企業大学校のうち、東京校のみが実施している経営後継者育成プログラム。事業を引き継ぐ後継候補者に必要な知識や能力を実践的に授けるカリキュラムが特徴で、毎年10月から翌年7月まで集中して学んでいる。これまでに850人以上が卒業し、全国各地で経営者や経営幹部として活躍している。異業種の企業から派遣された研修生同士の交流も魅力の一つで、研修後も交流を続けている卒業生も少なくない。